体が濡れたままは危険 : 塹壕足

塹壕足というものがある。これは第一次世界大戦でよく見られた症状である。体の末端が麻痺、壊死しひどい場合では足の切断などもあったようである。もちろん壊死した部分などを放置すると死の危険もあった。

この塹壕足は雨水の溜まる塹壕で、ぬかるんだ地面により足が濡れ、長時間そのままで過ごすことで起こった。長時間水に使ったような状況であると、体は冷却され続け、特に末端では低体温が続くこととなる。それにより血流障害などが起きてしまうことにより各部に痛みや壊死などの諸症状が現れるわけである。

長時間水につかり続ける、またはぬれたままとなる状況というのは何も塹壕だけの話ではない。戦争といった極端に危機的な状況でなくともぬれ続ける状況におかれうるものである。

例えば雨天時であっても災害は関係なく訪れる。いや、水害はそういったときこそというべきであろう。特に足はそういったとき常に水の中といった状況となる。その後も避難所が無事かどうかも分からない。雨をしのげる状況が整っているかは確実でないのである。地震のときではより各種施設の損害は大きいであろうし、そういったときに長雨が続けば必然的に濡れることを避けることは難しくなる。

そういったときに体を乾かすための方法というのはかなり重要になる。塹壕足や低体温など濡れたときの各種症状を回避するためには、やはりまず乾かすことである。その方法としては焚き火などが考えられるわけであるが、前述してある様な雨天や水害被災時では火を焚くのも難しい場合もある。したがって他の手段があることが望ましい。

足の先だけの話で言えば、換えの靴下があるだけでも大きな効果がある。乾いた衣服に着替えるだけで体温の低下を食い止め、衣服の保温の効果を回復させることができる。また、タオルなどで体を拭き、乾燥を助けるのも効果があるだろう。

衣類の換えとタオルは乾燥を保つために防水をすることが大事である。水につけても浸水しない各種ビニールバッグがあるのでこれらを利用して濡れないようにしよう。

換えの服やビニールバッグなどの品は体が濡れた時だけでなく災害時には便利に使うこともできるので、特に重量などに問題のない範囲で災害時持ち出し用の品などに含めておくと良いだろう。

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のどに物が詰まったときにどうするべきなのか

正月には餅を食べる機会が多い。方々で餅がふるまわれる。そして多くの誤嚥事故、つまり餅をのどにつめる事故が発生している。餅のシーズンはおおよそ過ぎていまさらだが、その対処法を記憶の薄れないうちに覚えておこう。また、餅だけでなく色々なものを誤嚥する可能性はあるから損にはならないと思う。

餅をのどにつめる事故があったとき、過去に家庭にあった掃除機を使って餅を吸出して難を逃れたという事例もあるが、そう都合よくそういったものが存在するかは分からない。また、軽度の場合ではそういった対処が悪化を招くこともある。

まず確認するべきことは、呼吸が少なからずできているかどうかである。完全に詰まっていない場合は自分で咳をするなどして排出できる可能性があり、異物を内部に押し込むリスクのある方法は避けるべきである。ヒューヒューと細くでも呼吸ができているのかどうか、また咳ができるかどうかを確認する。呼吸が完全に停止している場合には早急に異物を取り除く必要がある。可能であれば救急に連絡し、また直接異物をつかんで取り出したり、前述の掃除機で取り出すような方法を使ったり(ただし掃除機を使う方法は専用の器具を用意して置かないと極浅いところに異物がある場合でないと使えない)するという方法があるが、器具がなく、また見えるところに異物がなければ直接取り出す方法は使えない。他には特殊な姿勢で腹部を圧迫したり(ハイムリック法)横に寝かせて背中を叩いたりする方法(背部叩打法)があるが、きっちりと方法を習得していないと内臓をいためたり危険な場合があるから、有事の際に実践する気のある方は、救急救命の講座などをしているところに問い合わせてこういった方法の講習に参加すると良いだろう。

一方で、咳き込める状態であればそこまでの対処をせずとも回復できる場合もある。誤嚥などで気道に異物が入った場合などにおいては、咳をして排出できる健康状態であれば咳により排出しやすくする方法を取ったほうがリスクが少ないだろう。咳を遠慮なくできる状況にして、また咳により排出しやすい姿勢にする必要がある。個人差や誤嚥したものにより変化する可能性があり、個人的な経験で申し訳ないが、腰を曲げ、口をへそよりも低くすると幾分かは楽に出る。周りからは咳をして出すことを奨励してやるのがよいだろう。一般的に行われる、背中を叩いたり、水を飲ませたりする行為はより異物を内部に押し込む可能性や更なる窒息を招く可能性もあり避けるべきであろう。

さて、今まで物が詰まったあとの話をしてきたが、そもそもは予防のできるものであることを覚えておこう。食物の誤嚥であれば、よく噛み、ゆっくり飲み込むことで誤嚥する可能性はかなり低くなる。他にも非食物の飲み込み事故などは飲み込みそうなものを置かないなど気を配ることで予防できるだろう。老人や子供などは特にこういった事故を起こしやすい。予防に勝る対処はないのである。事後の対処をしっかりとしておき、また予防を心がけることで危険を確実に遠ざけることができるはずだ。

密閉空間の危険 : 閉鎖環境で酸素はどれだけもつか

前回にイグルーというかまくらを紹介したけれども、そういった即席のシェルターといったようなものは入り口の気密は完璧でない。大体においては入り口だけでなく、全体的に隙間が空いていたりして気密はよくない。これは保温の観点から言うと欠陥といえるのであるが、一方でその中に長時間滞在するためには必要なものであるという面もある。

少し考えてみると、雪で作ったシェルターが完璧に閉ざされているとき、これは雪崩で雪に埋もれたときと同じような状況になっていると気づくだろう。無論雪の重みで押しつぶされているのではないが、そこには空気の出入りがない。つまるところ、どちらも密閉された空間となるのである。密閉空間では酸素が供給されない。酸素が供給されないということはいずれ酸欠の危険が発生するということである。

酸欠の危険性はかまくら型のシェルターだけでない。近年では通常の家屋のなかでも起こりうる危険となっているから油断はできない。特に、最新式の暖房効率のよい建物は要注意なのである。

昔ながらの家であれば隙間風などにより自然と換気がなされるものであるが、現代の最新式の高気密住宅であると、その断熱性能と引き換えに換気は皆無といっていい。そのため高気密高断熱の住宅には必ず換気システムが併設されている。しかし、そのシステムには電動のファン(送風機)がつき物である。それが意味するところは、非常時、停電に陥ると換気機能が停止するということなのである。

古い家屋でも、立て付けの良い、つまり隙間風がうなるように入っていない家屋であると、暖房器具などによる酸素消費や大人数が部屋にいるなどの悪環境があると危険が生じてくる。燃焼式の暖房器具やガスコンロなどの場合では一酸化炭素中毒の危険もあるのでより危険度が増す。寒いのは我慢して定期的な換気を心がけるべきであろう。

そうは言っても、常に窓を開け広げて寒風吹きすさぶなかで生活するわけにもいかない。換気の必要になる時間というのはどれくらいだろうか。これは、空間にある酸素の量と1人の人間が消費する酸素の量からおおよそ割り出すことができる。

空気中にはおよそ21%の酸素が含まれている。また、呼吸するとき吐き出す呼気の中に含まれる酸素の量はおよそ16%である。したがって空間の体積の半分の量を呼吸した場合に空間内の空気中の酸素量は18.5%程度となるだろう。酸素欠乏症が現れるのは空気中の酸素が18%未満といわれるので、空間内の空気が完全に攪拌されて理想的に消費されるような状態ではない現実においては十分に危険な数値である。したがって、限界として空間の体積の半分を呼吸するまでには換気するべきである。

人の呼吸量は個人差があるが、平均的には体重50kgの人間の呼吸量が呼吸一回0.5リットルで1分間に20回、すなわち1分間に10リットルの空気を呼吸する。つまり1m3(1000リットル)の空気があればその半分を呼吸する50分が限界ということになる。平均的な部屋として6畳の部屋を想定すると、この部屋の空間はおおよそ24m3となる(部屋の高さなどで増減する)から1200分、20時間が限界となる。実際には家具やその他の物品で有効な空間が減少し、また肺活量その他で必要な新鮮な空気の量は多くなるからもっと早く限界は来るかもしれない。安全にその半分、10時間に一度は換気をした方が良いだろう。

ちなみにこれは一人のときの計算である。2人なら上記の半分の時間で限界が来るし、6人くらいになってくるとさらに短く3時間程度で限界に到達する。災害時などでは無事な場所に複数人が集まることがよくあるが、そういった場合には換気にも気をつけたいところだ。サバイバル時のシェルターなどでは特に狭い場所に集まるようなことになるから、換気を心がけ自ら酸欠の危機のある場所を作り出さないように心にとどめておいて欲しい。

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