木を切る基本的な道具 斧の扱いまとめ

斧はかなり原始的な道具である。石器時代から石斧が存在し、石刃をそのまま持つ石斧から柄の付いたものとなり、それから素材が金属へと変化したものの基本的な構造はほぼ変化していない。極めて原始的で単純な道具といえる。もちろんこれは、斧の役割がはっきりしており、単純がゆえに変更の余地が無かったというのが大きな理由であろう。細かな用途の違いで形、大きさ、重さなどの細部が異なるが、その根本、木に叩きつけて切る、もしくは割るという機能はどれも変わらない。

サバイバルにおいては、自然物を利用する場合、木の加工を避けて通ることはできない。焚き火をするとき、シェルターを作るとき、はたまた器や道具を作るときなどに木を様々に加工する。そういったとき、ナイフだけでは規模が大きくなると対応し難くなる。その点、斧であれば直径が20cmを越えるほどの太い木であっても切り倒すことができる。また、障害物を解体する必要があるときにもそれが木材やプラスチックなどの比較的柔らかいもの(金属や石でないもの)であれば破壊することもできるだろう。

大きな木材を得ようとすれば木を切り倒すことが必要になる。木の切り倒し方は最適な形が確立されており、安全と効率のために基本に則った切り倒し方をする必要がある。

斧で木を切り倒す

斧を基本から学ぶ1 - 伐採

切り倒した後は扱いやすい大きさにしてやる必要がある。時には10m以上の長さになる木をそのまま全て扱うことは難しい。まして全て一人で行うことも考えると、長い木材を得ようとするときでも、どうしてもある程度は短くする必要性が出てくる。また燃料として木を扱うときには割って火のつきやすい太さにしてやることで利用しやすくなる。

斧で木を切る、薪を割る

斧を基本から学ぶ2 - 枝打ち・玉切り

斧を基本から学ぶ3 - 薪割り

そうして得られた木材は燃料にしたり、様々な加工を施して利用される。斧は大雑把に形を作るのにはかなり効率が良い。一方で、雑な加工だけしかできないかというとそうではない。削ったり剥いだり、また切り込んだりの加工も可能である。斧は叩きつけるイメージが強いが鋭い刃物でもあるのである。

角材の作り方

斧を基本から学ぶ4 - 切って加工する

もちろん道具はメンテナンスされなければならない。斧も刃物であるから鋭さを保つためにある程度使用したら刃を研いでやる必要がある。刃物を利用するときはその切れ味に注意してやると作業の効率が大幅に変わってくる。サバイバル時は特に無駄な体力を使わないように、道具の状態には気をつけたい。

斧を研ぐ

斧は単純がゆえに使う人によって様々な手法が存在したりするから、様々な利用シーンを想定して、良いと思うものは取り入れてみるといいだろう。きっちりと使用することができれば大変強力なツールであるから、使えるようにしておきたいところである。

古来からの食料 - 栗(柴栗)

クリの葉と実

日本の栗は縄文人の主食であったそうだ。縄文時代の時代の遺跡から見つかった栗の研究で、すでにその当時から栽培がされていたようである。

栗はその食品としての有用性から、またその成長の早さから日本各地に分布している。栽培されているものはもとより、栽培品種が野生化したもの、そして栽培品種の原種である栗が見ることができる。

野生種で栽培種の原種である栗は、柴栗や山栗と呼ばれる。通常の栗との見分け方は簡単で、柴栗は実が栽培品種より小さい。幅で言えば2分の1程度であり、したがって実の体積および重量は8分の1程度になる。ずいぶんと小さく感じるが、大体のところ栽培品種の原種というのはこのようなものである。

栗と他の木の見分け方は実を見れば分かるといっていいだろう。イガの中に特徴的な形の実が詰まっている。おなじみの栗の形であり、それは野生種であろうと変わらない。

食べ方も加熱をし、皮をとり、渋皮を剥いで食べる、という栽培品種と同じ様な食べ方をする。ただし渋皮はとりにくいようである。

栗はこれといった毒性や薬効がないので主食として利用できる。実自体にも渋みなどがないので常食に適する。

ただし、栗に付く虫は発見し難く、冷凍庫などを利用しない保存の際には加熱と乾燥などで虫を殺しておくことが必要である。

採れる時期はもちろん秋である。秋は栗を代表とした木の実が多く取れるから、調理の手順をしっかり行えるならば食料が得やすい時期である。

食用もされる古代からの虫下し - カヤの実

カヤの葉と実

カヤの実(榧実)は日本で古来から食べられてきた木の実である。カヤは木材として碁盤や将棋盤などに使われる、身の詰った硬く重い木である。木材としては耐久性があり、樹脂を多く含み、色合いがよいとされる。

枝葉および幹には独特の香りがあって、これが虫除けとなることから、蚊遣り木とよばれ、これが転じてカヤとなったといわれ、カヤの木片があると、その周囲に蚊が寄らないといわれることもあるほどである。枝葉を燃やした煙を防虫に使ったりするようだ。

食料としてみると、殻の中の種子を食用とすることができる。カヤはどんぐりや栗などと同じように、秋に実をつける。実は緑の果肉で覆われており、その果肉をまとったまま落ちるものがあるからそれを拾い果肉を割って中の殻付の実を取り出して利用する。

実は、殻付のまま7日間ほど灰汁に漬けて渋抜きをするそうであるが、十分に煎ることができればさほど渋抜きに気を使わなくとも食することができるようである。サバイバルにおいて7日間食べられないより、渋くても食べられるほうが良いから、食料の足りないとき、労力を惜しまねばならぬときは渋抜きは省略してよいだろう。

殻付のまま煎り、殻をはずして食するが、十分に渋抜きされたものは一般に食用されている木の実と同様においしいようである。渋抜きをしていないものは苦味、えぐみが強いので覚悟して食べる必要があるが、カヤの実は油分を多く含むのでそのカロリーは高く、食べられるなら食べない手はないだろう。殻を除いたあとの実25g(おおよそ20粒前後)で160kcalほどあるので500gもあれば活発に活動しても十分なカロリー摂取が計算上では可能だ。

ただし、カヤの実は薬効があり、そう多くは食べないほうが良いかもしれない。

カヤの実、榧実は生薬として知られ、20~30粒ほどを食べると虫下しに効くといわれている。また、食べ過ぎると下痢を起こしたり、痰が多くなるなどの副作用が起こるといわれているので、主とした栄養源としてみることは難しく、栄養補給もできる薬としてみたほうが良いかもしれない。

また、カヤはイチイ科の植物であるが、同じイチイ科のイチイは、種子や葉などの果肉を除いた部分は総じて毒があり危険である。同じ科の植物は似ていることが多く間違えないようにすることが大事だ。見分け方としては実が赤くなるのがイチイである。イチイの実は果肉は食べられるが他は食べられない。食料を採集する場合、確証のない場合は食べないということも大事である。