ダクトテープで水を汲む - バケツ製作

アメリカの工作を調べるとかなりの頻度で出てくる材料である「ダクトテープ」、これはもともと軍の補修用品であったそうであるが、軍用品がおおよそサバイバルに有効なのはこのダクトテープにもあてはまる。靴を作る人もいるといった話も紹介したが、もはやなんでもありなようで、ダクトテープだけでバケツを作ることだってできる。

テープでバケツを作ってどうするのかという人もいるかもしれないが、必要なサイズにちょうどいい容器を装備として用意できているとは限らないし、その上それを喪失した場合にはどうするのかということを考えると汎用的な材料から製作できるというのはかなり心強いところである。

さて、上の動画で見ていただいたのはブッシュクラフトでの一例である。しっかりと最後は水をくみ上げることができるのが見ていただけたかと思う。即席にしてはしっかりした出来と思うのであるがどうだろうか。

製作法については、手に入る材料や道具によってアレンジの余地は大いにあるだろう。丸太を使って型にしていたところは複数の枝を束にして代用することも出来るし、そうしたときは型を引き剥がすときが少し楽になるかもしれない(枝を一本ずつ抜き取れる)。また、紐が無ければダクトテープを折りたたんで紐のようにも出来るだろう。

サバイバルは想像力と創造力が大変重要である。そしてもちろんのことながらそれを実現できる装備も重要だ。頭にアイデアを、鞄にダクトテープを詰め込んでとっさのときに活用できるようにしておきたいものだ。

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着火具長短まとめ2/2

サバイバルの基本といっていいだろう焚き火に不可欠な着火具、前回に引き続きいくつかの道具について長短をまとめてみよう。

・ファイヤースターター

ファイヤースターターは特別に作られた合金とそれを擦るための金属板からなる。合金はマグネシウムやセリウムなどと鉄との合金(フェロマグネシウム、フェロセリウム)であり、ゆっくりと削ると切りくずとなるが、勢いよく擦ると切りくずが燃焼して高温の火花となる。この火花を火口や着火しやすいものに当てて火を熾す。

長所は全体が金属であるということだ。持ち手部分はプラスチックのことも多いが、重要な発火部分については合金であるので削りくずになると燃焼するが、塊の状態だと表面が酸化するだけであるため、火の中に入れたとしても問題ないくらいに安定性がある。

一方で、燃料となる部分を持たないことから、種火の段階から少しずつ火を大きくする必要があるという点がある。火口ないしは乾燥した細かい繊維、毛羽立たせた紙や樹皮など着火しやすいものに火花を当てて、そこから焚き付けに着火するという段階を踏まねばならない。

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・ガスバーナー

ガスバーナーは工作や料理に使われるシーンの多い道具である。工作ではロウ付けといった作業、料理では焼き目をつける作業に利用される。カセットガスにガストーチがついた構造であり、電子着火装置がついている物であれば単体で着火できる。また通常のカセットガスコンロも着火用途には使いづらいものの、ある程度同様の使い方ができる。

その用途から火力が強く、かなり広範囲のものに着火できるのが長所である。通常の焚き火の着火はもちろん、着火し難い炭にも直接点火することが可能である。また本来の使用用途にも使えるので工作の幅はひろがるかもしれない。

ただし、カセットガスはかさばり、また高温で爆発の可能性がある。サバイバルにおいては脱出時や保管時に注意が必要である。また強い火力と引き換えに消費も激しいので不意に使い切ってしまわないようにすることも重要である。

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・摩擦式発火具

揉み錐、弓錐に代表される摩擦式発火具は古代人類が火をその手で思うさまに発生させられるようになったころからあった、かなり原始的な道具である。摩擦の熱により、火口を加熱して発火させて火種とする。火口は外から加えてもよいが、大抵は摩擦により発生する木屑が火口となる。

その長所はなんといっても自然の中でありあわせの物を使って作りやすいということである。揉み錐であれば切れ込みの入った木の板と先の尖った木の棒があればよく、弓錐であればそれに加えて弓状のものに紐を張ればよいので、かなり製作の難度はひくく、ナイフ一本あれば事足りると思われる。またナイフがなくとも根気があれば石を使って石刃なり、荒い石で削るなりして製作できる。

もちろん、その後に様々な点火具が開発されたわけであり、総じて不便な道具であるということに疑いはない。力が足りなければ十分な摩擦熱を得ることは難しく、また効率的に発火させるには技術がいる。また習熟した者でもそこそこの時間がかかるために即座に火を必要とする場合には役に立たない。

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・火打石

火打石は一般にマッチ登場前の点火具として認識されているだろう。日本では火打石だけで点火できると誤解を受けていることもままあるが、火打ち金と呼ばれる鋼鉄に打ち付けて火花を発生させ、それを火口にうけて種火とするものである。

長所としては、その歴史的な立ち位置として、摩擦式の発火法よりは早く点火できるというところである。よくそろった整えられた道具を習熟した者が使用した場合には10も数えないうちに点火できたようである。また、原始的原理であるので火打石は衝撃に強い回転砥石などで代用でき、火打ち金はそこそこの硬度がある鋼鉄なら何でもよく、ナイフの背や金鋸などで代用可能である。

しかし、火打石は圧倒的に使いづらい。火花を発生させるのがまず一苦労であり、それを火口に移し、火を吹き上がらせるのはかなりの技術を要する。道具もよく乾燥された品質の良い火口を必要とし、また便利に扱うために先に硫黄の着いたマッチのような棒を使っていた歴史もあり、もはやマッチを用意するべきであるというようなところがある。摩擦法よりは点火は早いがサバイバルで使うには揃えるべきものが多く、難点の多い方法といわざるを得ない。

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・総括

それぞれの道具にはそれぞれの特徴があり、新しいか古いかで優劣が決まるものでもない。火打石は歴史的には摩擦式発火法の後に生まれたが、サバイバルの観点からは摩擦式のほうをより訓練するべきである。

そして、行く先、状況によって適切な道具も変わってくる。ガスやオイルを使ったライターは便利であるが、高温に弱く、また可燃物を持ち込めないところには持って入れない。一方で、ファイヤースターターはそのような場所でも許容される可能性がある。

長所のみのものはないので、装備の大きさや燃料の流用、火災の際の安全性など、様々な点を考慮してそれぞれの方針にあった装備を決定して欲しい。

着火具長短まとめ1/2

体を温めるため、また調理や照明のために火を焚くというのはサバイバルの基本である。つまり着火もサバイバルの基本であるが、その為に使う道具はそれぞれ長短あるものである。今回と次回の2回はそれら着火具について簡単な説明と長短をまとめて紹介したいと思う。

・マッチ

マッチはサバイバル用品として売られているセット商品に含まれていることの多いものの一つである。側薬(多くは茶色のベルト状の部分)に頭薬(マッチ棒の先の部分)を擦って火をつけるものがほとんどであるが、硬いヤスリ状(コンクリートなど)にこすり付けるだけのものもある。

長所は残量(回数)が目に見えて分かることや安価であること、そして何よりマッチの軸がそのまま焚き付けの一部となり、点火の際にマッチ棒を使い捨てに出来ることである。着火中に焚き火構造物に置き去りに出来るのはマッチだけである。

一方でマッチは水に弱い(濡れると着火しない上に、薬剤が溶けてしまうと乾いても役に立たないことがある)、マッチの軸が弱い(折れて着火に不向きになる)、風に弱い(火で消えやすい)などがある。これらの短所は対策した商品もあるが、大きさや価格、着火しやすさなどで不利な点も多い。また全体が可燃物であるので、火に近づけると延焼の危険がある。

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・ガスライター

ガスライターは現代において一番ポピュラーな着火具の一つといっていいだろう。ガスタンクに点火器具のついたもので、ガスを燃焼させて火をつくる。一般的にはタバコに点火するために用いるため、長時間(数秒以上)点火できるようには作られていないが、その他の着火用に作られたものもある。

長所としては、広く様々なところで販売されており入手性がよく安価であり、また点火も容易であることである。また一般的な品は小型で携帯性もよい。ガスライターは手軽であるというのが一番の利点であろう。

短所はプラスチックケースが多いことと、内容物がガスであるという点である。プラスチックケースのライターは、構造によっては長時間の点火に耐えられず熱で変形し、延々とガスを放出し続けるものがある。また内容物がガスであるため高温にさらされると爆発の危険もある。様々な点火に使えるように作られたチャッカマンなどでは長時間点火できるが携帯性はいくぶん犠牲になる。

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・オイルライター

オイルライターはガスライターが一般化する前は広く用いられたが、いまでは利便性というより趣向によって用いられている部分も大きいところがある。燃料が切れてもライターオイルを注入することで繰り返し使うことができる。

長所はオイルを補充でき、そのオイルの選択肢が多いということである。通常は推奨されるライターオイルを用いるが、ガソリンやベンジンなど揮発性油であればある程度使うことができる。もちろん通常使用では臭いや安全性の問題で推奨できるものではないが、非常時には役に立つかもしれない。また純正のライターオイルはカイロなどにも使用可能である。

その一方で、揮発性油を使用するという性質上、構造上の問題で使用しないでも燃料が揮発してしまい使用不能になる場合がある。対策したものもあるにはあるが、一般的ではないので備える場合には燃料と一緒に持っておきたい。

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・オイルマッチ

オイルマッチはライターオイルを使用したマッチのように使える点火具である。タンクに入れたライターオイルに点火芯を漬けて、側面のファイヤースターターを擦ることで点火を行う。

長所はほぼオイルライターと同じであるが、点火芯を焚き付けの下に差し入れるなどマッチ的な利用が出来る(ただしそのまま放置すると焼損するため点火後には引き抜かねばならない)。またタンクの蓋をかねた点火芯の軸がねじ止めであるため揮発によるオイルの減少が少なく、オイルライターと違って綿にしみこませるわけではないので燃料を取り出して他のことに流用できる。そして燃料が切れても側面のファイヤースターターは利用できるため火花による点火を試みることが可能である。

しかしながら、長所としてあげたものの影響で気をつける必要もある。タンクが密閉されるため、熱せられると爆発の危険がある。また液体の入ったタンクの側面を強く擦る必要があるので点火に慣れが必要であり、またタンクの燃料がこぼれやすいので注意せねばならない。

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・その他の方法

次回はファイヤースターター、ガスバーナー、摩擦式発火具、火打石について解説する。