着火具長短まとめ2/2

サバイバルの基本といっていいだろう焚き火に不可欠な着火具、前回に引き続きいくつかの道具について長短をまとめてみよう。

・ファイヤースターター

ファイヤースターターは特別に作られた合金とそれを擦るための金属板からなる。合金はマグネシウムやセリウムなどと鉄との合金(フェロマグネシウム、フェロセリウム)であり、ゆっくりと削ると切りくずとなるが、勢いよく擦ると切りくずが燃焼して高温の火花となる。この火花を火口や着火しやすいものに当てて火を熾す。

長所は全体が金属であるということだ。持ち手部分はプラスチックのことも多いが、重要な発火部分については合金であるので削りくずになると燃焼するが、塊の状態だと表面が酸化するだけであるため、火の中に入れたとしても問題ないくらいに安定性がある。

一方で、燃料となる部分を持たないことから、種火の段階から少しずつ火を大きくする必要があるという点がある。火口ないしは乾燥した細かい繊維、毛羽立たせた紙や樹皮など着火しやすいものに火花を当てて、そこから焚き付けに着火するという段階を踏まねばならない。

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・ガスバーナー

ガスバーナーは工作や料理に使われるシーンの多い道具である。工作ではロウ付けといった作業、料理では焼き目をつける作業に利用される。カセットガスにガストーチがついた構造であり、電子着火装置がついている物であれば単体で着火できる。また通常のカセットガスコンロも着火用途には使いづらいものの、ある程度同様の使い方ができる。

その用途から火力が強く、かなり広範囲のものに着火できるのが長所である。通常の焚き火の着火はもちろん、着火し難い炭にも直接点火することが可能である。また本来の使用用途にも使えるので工作の幅はひろがるかもしれない。

ただし、カセットガスはかさばり、また高温で爆発の可能性がある。サバイバルにおいては脱出時や保管時に注意が必要である。また強い火力と引き換えに消費も激しいので不意に使い切ってしまわないようにすることも重要である。

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・摩擦式発火具

揉み錐、弓錐に代表される摩擦式発火具は古代人類が火をその手で思うさまに発生させられるようになったころからあった、かなり原始的な道具である。摩擦の熱により、火口を加熱して発火させて火種とする。火口は外から加えてもよいが、大抵は摩擦により発生する木屑が火口となる。

その長所はなんといっても自然の中でありあわせの物を使って作りやすいということである。揉み錐であれば切れ込みの入った木の板と先の尖った木の棒があればよく、弓錐であればそれに加えて弓状のものに紐を張ればよいので、かなり製作の難度はひくく、ナイフ一本あれば事足りると思われる。またナイフがなくとも根気があれば石を使って石刃なり、荒い石で削るなりして製作できる。

もちろん、その後に様々な点火具が開発されたわけであり、総じて不便な道具であるということに疑いはない。力が足りなければ十分な摩擦熱を得ることは難しく、また効率的に発火させるには技術がいる。また習熟した者でもそこそこの時間がかかるために即座に火を必要とする場合には役に立たない。

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・火打石

火打石は一般にマッチ登場前の点火具として認識されているだろう。日本では火打石だけで点火できると誤解を受けていることもままあるが、火打ち金と呼ばれる鋼鉄に打ち付けて火花を発生させ、それを火口にうけて種火とするものである。

長所としては、その歴史的な立ち位置として、摩擦式の発火法よりは早く点火できるというところである。よくそろった整えられた道具を習熟した者が使用した場合には10も数えないうちに点火できたようである。また、原始的原理であるので火打石は衝撃に強い回転砥石などで代用でき、火打ち金はそこそこの硬度がある鋼鉄なら何でもよく、ナイフの背や金鋸などで代用可能である。

しかし、火打石は圧倒的に使いづらい。火花を発生させるのがまず一苦労であり、それを火口に移し、火を吹き上がらせるのはかなりの技術を要する。道具もよく乾燥された品質の良い火口を必要とし、また便利に扱うために先に硫黄の着いたマッチのような棒を使っていた歴史もあり、もはやマッチを用意するべきであるというようなところがある。摩擦法よりは点火は早いがサバイバルで使うには揃えるべきものが多く、難点の多い方法といわざるを得ない。

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・総括

それぞれの道具にはそれぞれの特徴があり、新しいか古いかで優劣が決まるものでもない。火打石は歴史的には摩擦式発火法の後に生まれたが、サバイバルの観点からは摩擦式のほうをより訓練するべきである。

そして、行く先、状況によって適切な道具も変わってくる。ガスやオイルを使ったライターは便利であるが、高温に弱く、また可燃物を持ち込めないところには持って入れない。一方で、ファイヤースターターはそのような場所でも許容される可能性がある。

長所のみのものはないので、装備の大きさや燃料の流用、火災の際の安全性など、様々な点を考慮してそれぞれの方針にあった装備を決定して欲しい。