カセットガス発電のメリットとデメリット

非常時の電力確保は生活レベルの維持に重要であるが、大なり小なり専用の機器が必要になってくる。家庭用の利用のための機器も数あるが、最近特に便利になったエンジン発電機にカセットガス式の発電機がある。

エンジン発電機というと旧来はガソリンエンジンやディーゼルエンジンが通常であったが、ガソリンは大変取り扱いを慎重にせねばならず取り扱いにくい上に多く保存するわけにも行かず、ディーゼルエンジンは大型のものになりやすい。しかし、近年取り扱いやすいカセットガスを利用するガスエンジン発電機が登場した。

カセットガス発電機は小型であり、移動もさほど苦になるものではない。また燃料がカセットガスであるため取り扱いが簡便であり、ガソリンを利用するときのような爆発の危険は少ない。また非常時には調理用のカセットコンロと燃料が共有できるため備蓄燃料の種類を少なくすることが出来る。カセットコンロはスーパーやコンビニで入手可能であるというのも便利な点であろう。

しかしながら、どの道具でもいえることだがカセットガス発電機も一長一短といったところである。まずカセットコンロと燃料が共通であるということはカセットコンロの燃料を消費してしまうということでもある。またカセットガスボンベは高温にさらされると爆発の危険もあり保存の場所は気をつけなくてはならない。特に車内での保存には十分な注意が必要である。直射日光など当たるところにあると特に危険だ。また大量の備蓄がし難いということもある。液体燃料であれば数リットルから購入できるが、カセットガスだと3本単位(内容量250g×3)であり、カロリーで言うとおおよそ燃油1.5L相当の燃料であるが、大量購入すると相当スペースが必要である。発電機の駆動時間もカセットガスの一本の容量に左右されるのでどうしても長時間にし難く比較して短時間となりがちである。

ただし、短所を多く挙げたが、ガソリン等のエンジンと比べると格段に使いやすくなっていることに変わりはない。発電のために技術を習得せねばならない時代からいうと格段に利用のハードルは低くなっており、それがカセットガス発電機の最大の特徴といえる。少し多く電力の備えをしておきたいが、取り扱いは楽な方がよいという方は予算が合えば検討してよいと思う。

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有刺鉄線を有効に使う

非常時に一定の場所で過ごす場合に気になるのがその拠点の防御力である。治安の悪化しているとき、また物資に不安の多いときには様々な悪人・悪事が横行するものだからである。自らの生命、そしてせっかく準備した物資をやすやすと悪人にくれてやるわけにはいかないが、警察などの機構が機能不全に陥っているときにどのように守りを固めればよいだろうか。

多くの場合に想定されるのは地震などの災害であるが、そういったときには塀や家の壁などは崩れている場合もある。その修復をせねばならないと思うのが人の心というものだが、壁が崩れていても無事であっても積極的に略奪しに訪れる者への防御力には不安が残る。攻撃的な相手には消極的な防御では少しばかり足りないのである。そこで少しばかり攻撃的な防御として有刺鉄線というものの価値が見出されるわけである。

有刺鉄線は文字通り棘(刺・とげ)のある鉄線である。もともとは牧場で家畜の脱走、また野生動物の侵入を防ぐものであったが、大型の動物に効果のある有刺鉄線は、人間にもまた効果的に働いたため、侵入防止用の設備資材として利用されてきた。有刺鉄線は現代の戦場で多用されるほど防御効果が高い。しっかりと設置できれば訓練を受けた兵士でも専用の装備がなければ手間取るくらいに効果が見込めるものである。空港や発電所・変電所など余人が入り込んでは困る場所に設置されるのもこの有刺鉄線である。

有刺鉄線は木の杭やその他ポールとなるものに固定して、横方向に数条張ることで領域を区切ることが出来る。ポールは三角形状に立ててその両面に有刺鉄線を仕掛けることでさらに安定して防御できるだろう。三角形状に交差して棒を立てるだけで支柱の安定性は増すが、それを有刺鉄線がそれぞれの支柱をつなぎ合わせるようになり、さらにこれを破壊するを難しくさせるのである。いっぽうで、有刺鉄線も能動的な防衛ではないのでじっくりと時間をかければ撤去できるものである。有刺鉄線はその足止め効果が評価されて軍事拠点に多用されているものであるから、さらに攻撃手段を用意しておくとより防御に不安はないだろう。

しかしそれでも、一般住宅地であれば十分な防衛効果が見込めるものである。有刺鉄線はその物々しい見かけからもこちらが「本気の防御」をしていることが分かるものである。そんじょそこらの悪人であれば襲えば自分に被害を受けそうな場所には襲撃したくないものである。仮設の有刺鉄線を設置して防御するところまで気軽に襲うことは考え難いだろう。逆に、物資が極限的に不足した場合にはそういった防御のしっかりしたところに物資が有ると思われると逆に襲撃の対象になる可能性もあるので場合によっては目立たないように設置するなどの対処は必要になるだろうが、防御なくしてはその状況になるまで守りきることもできないかもしれない。

さて、散々防御力を強調してきた有刺鉄線だが、平時からの設置はお勧めできない。災害時などでは初期の脱出や救出のための出入りが困難になる場合があるのが最も大きい理由である。また設置している構造物が地震などで倒れたときには復旧がとても大変であるのが有刺鉄線である。ある程度倒されても衣服に絡みつくなどで移動を阻害し、また足に怪我を負わせる可能性もあるから撤去と再設置に著しく手間がかかるのである。また、普段から威圧的な設備を設置していると付近住民からの心象が悪くなる。自宅が倒壊した際などに救出してくれる可能性のある近隣の人々は見込み友軍と思ったほうがよく、よっぽどのことがない限り周辺住民には温厚であると思われていたほうが有事の際には有利に働くものである。

したがって、有刺鉄線は資材として持っておき、有事の際に展開するという使い方がよいだろう。周囲の状況は一定ではないので状況に応じて設置場所や利用方法が選べるというのは一種のアドバンテージになる。設置方法の予習をしておき、いざというときに素早く利用できるように勤めたい。また通常の使用法のほかに、土嚢と有刺鉄線で家を作るなどの面白い利用法もあり、資材として持っておくのは転用がしやすいという意味でも有利である。あまり価格が高いものでもないので扱う自信がないというわけでなければある程度持っておけば無駄にはならないかと思う。

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必要な電気機器を選定し電力を確保するべし

災害時、電気水道ガス等の一般的な生活インフラのことごとくが使用不能となる。ガス等の熱源は薪炭で、水道は汲み置きや井戸などで代替可能であるが、電気は貯蔵も難しく高価になってしまう。電力確保の方法はいろいろな種類があるが、必要とする機器の電力に合わせた選択をしなくてはならない。「必要とする機器」としたのは、電力会社からの電力供給が停止した際には利用可能な電力はかなり制限されるからである。

大きな電力の得られる蓄電や発電はかなり高度な技術が必要で、機器が高価になるがゆえに家庭用の蓄電池、発電機は普及率が悪く経済的に負担が大きい。また家庭用とされる蓄電・発電機器も能力がさほど大きくない場合がよくあるが、電気機器の規格や法律などの関係(大規模な電力危機は大きな事故を引き起こす可能性があるため規制が多い)から大容量化はあまり芳しくない。そういった関係で一戸家庭で得られる電力は多くないと見たほうが良い。

したがって、非常時には電力の使用をかなり絞る必要がある。ポジティブに言うと利用する機器を本当に必要な範囲に限定して選定することができれば、小さな発電・蓄電量でも非常時において十分に電気機器を活用することが出来る、ということでもある。

さて必要最低限の電力とすると、どれくらいのものが必要だろうか。いくつかのシーンで考える必要があるだろう。徒歩移動時と車での避難時、自宅が無事なときの3つで考えてみる。

徒歩移動時はかなり利用可能機器も重量から制限されるが、ひとまず明かりと通信・情報受信、つまりライトと携帯電話、ラジオが駆動する程度の電力が確保されれば良いだろう。それも3つを常時利用できなくともよい。最低でも夜間にライトが利用できる程度の電力が確保できればよいし、ラジオで断続的に情報を得て、携帯電話で外部への連絡の可能性を確保できるならば上等である。この程度であれば手回し発電機程度の発電量でも賄うことが可能である。ただし手回しはかなりの手間であるので小型の太陽光発電機が併用できればなお良いだろう。

次に車での移動であるが、これは車のバッテリーと発電機からの電力が利用できるため少しだけ多く電力が利用できる。ただ、バッテリーは車の稼動に必要不可欠であり、他の用途に流用しすぎて車が動かなくなるのはかなり危険であるので上記徒歩移動時の利用と同様な内容で、その補助に車を利用するくらいの範囲にとどめるのが無難だろう。別個に発電機等を搭載することもできるから、例えば人工呼吸器などで電力がどうしても必要となる場合には検討したほうがよいだろう。

自宅が無事な場合はかなり大掛かりな発電機も利用できるので個々の生活と発電設備に応じた機器を利用できる。一番身近なところで冷蔵庫、扇風機、照明といったところだろうか。一番設備の負担がないのは照明である。冷蔵庫や扇風機などのモーターを利用する機器は始動時の電力が大きいので、貧弱な機器では利用できないが、最近の発電設備だと利用可能な場合が多い。他にもノートパソコンや各種充電式の電子機器、充電池の充電器、揚水ポンプ(井戸ポンプなど、モーターで電力を使うのでよく仕様を確認する必要はある)等がある。

一方で利用できない・利用しない方がよい機器は、トースターやアイロン、電気ポット等の電熱線器具、またIHコンロやIH炊飯ジャーなどのIH機器、電子レンジは大量の電力を消費するので適するものではない。蓄電池の電力を徒に消耗し、また発電能力を超えた利用になりがちなものである。大電力の発電設備が確保できるなら利用できないこともないが、非常時にはこれらの消費の激しい機器であまり必要でないか代替の利くものについては利用をあきらめてより経済的でコンパクトな利用形態にすることも考えなくてはならない。

絶対に必要な電気機器はないといってもいいのだが、それではあまりに不便すぎるから、利用度と重要度が高いものについては確保できるように心がけると万が一のときには役に立つだろう。普段便利さに慣れきってしまっているけれども、それがなくなったときどれくらい我慢できるか普段から意識してみてもらいたい。そうしてそれぞれの重要度について考えておけば、限りある電力の中でうまく電気機器を利用できるはずである。