森でのAフレームシェルターの作り方

いままでシェルターの重要性については語ってきたが、その実際的な形の1つにAフレームシェルター(A-Frame Shelter)というのがある。Aフレームシェルターというのは、簡素なシェルターの1つの形である。

この種のシェルターの作り方は実際簡単であるが、実際に見たほうがその実感がわくだろう。下の動画では、森で得られたものばかりでシェルターを作っている。ほとんどが落ちている物(倒木を含む、採っても森に影響が少ない物)で作られている。


なんともすばらしい出来だと思う。風雨から身を守ると同時に、地面からの冷えも防ぐように床面の断熱も気を使っている。これだけの簡素な構造で、十分に基本的な機能を満たしているのである。

非常食を3種に分けて考える

災害時の備えとして、非常食を備える方は多いと思われるが、その内容について深く考えたことのある方はどれくらいいるであろうか。多くの方がせいぜいどのくらいの量があれば何日もつかといったことぐらいではないかと思われる。

今回は非常食について考察するために非常食を3種類に分類して、その役目と備え方について考える。

非常時に備えて備蓄する食料は3つに分けることができる。ここではその3つを行動用食料・休息用食料・拠点用食料と呼ぶことにする。それぞれの食品がどれに当てはまるかで、どういう備蓄をしていくかを決定していく。

移動・避難時に食べる食料(行動用食料)

移動時や緊急時に口にする調理の必要がない食料を行動用食料とした。この種の食料は災害直後や帰宅難民となったときに、また、登山などにおいて遭難などしたときに必要とされるだろう。避難時、遭難時には過大な重量物を持って体力を消耗するわけには行かず、しかしながら必要なエネルギーを短時間で摂取しなければならないので軽量で調理の必要のない食糧が望ましいのである。

具体的な例で言えば、チョコレートや乾パンなどが非常食マーケットで有名である。他にもクッキーやビスケット、カロリーメイト等のカロリーバー、金平糖や氷砂糖などの糖質の固まり、極端に言えばカロリーの高いお菓子全般がこれに当てはまる。ただし、スナック菓子は重量とカロリーは申し分ないが、パッケージが大きく持ち運びに不便が大きいのであまり適当ではない。

こういった食品は主に非常用の持ち出し袋や帰宅支援バッグ(帰宅難民が背負って帰るようなバッグ)に入れたり、普段から一定量持ち歩いたりするとよいだろう。カロリーメイトの1パッケージ程度ならさほどかさばることなく備えておける。

一息つけるときに食べる食料(休息用食料)

避難が一段落した後にエネルギーを補給するための食料として休息用食料を考える。緊急の移動の必要性が薄れて食事の準備が多少なりともできる、また食事を一定の場所にとどまってできる場合にこういった食料が必要とされてくる。行動用食料と違って移動しながら食べること、短時間で食べることは難しいが、普段の食事により近いものを食べることによってより精神的に安定を得たり、バランスの取れた栄養を補給して健康を保持したりすることができる。ただし、避難時に持ち出して移動するため重量が大きいと負担になるから、軽量にしなければならない。

こうった食料には、アルファ化米の各種商品や、フリーズドライ製品、インスタント麺などがある。どれも乾燥した食品であり軽量である。調理に水が必要であるが、おおよそ湯をかけるだけであり簡便である。アルファ化米も赤飯や炊き込みご飯、ドライカレーにいたるまで多種多様な種類があるし、フリーズドライの製品も味噌汁やカレーなど幅広い。インスタント麺などは日常食べているものそのものであるから、食べなれている物が食べられる安心感は大きい。

休息用食料は軽いため、非常持ち出し袋に入れておくべきであるが、簡単であるとはいえ調理が必要であるから、水を得て加熱するための装備を同時に備えておくことを忘れてはいけない。

自宅や施設等に備蓄してほぼ移動しない食料(拠点用食料)

拠点用食料は、もはやお分かりになるだろうが、移動の際に持ち出すことはほとんど考えず、備蓄と栄養とだけを考えたものである。避難所や自宅などが無事なときにそこで消費する食事を賄うための備蓄として考えるから、重量や容積などはあまり考慮しない。

防災拠点などでは缶詰等の形で大規模な備蓄がなされ、炊き出しで使用することを前提としたパッケージとなっているものも多くある。家庭用では、そこまで行かなくとも缶詰なんかの形で備えている方も多いと思うが、水分を多く含む缶詰等の食品はあまり移動にむいておらず、車載するのでなければ移動時に持ち歩くのは効率が悪いため、拠点用の備蓄だと割り切られた方がよいかと思う。

災害備蓄用として設計されている商品も多くあるが、単に賞味期限(ないし消費期限)の長い食品であっても備蓄食料として考えることもでき、レトルト食品や乾物の類は調理の手間が少ないあるいは無い状態で食べることもできるから、意識的に多めに家庭に置いておいてもよいだろう。

食料を備蓄する際にはシチュエーションを想定することが重要

たとえば、非常持ち出し袋に缶詰の食品をたらふく入れたらどうだろう?きっと重みで持ち上がらないに違いない。帰宅用セットにアルファ化米を入れても水をいれて待っている暇は無いかもしれない。こんなナンセンスな食料の選び方をしないようにシチュエーションにあった食料を選ばなければならない。

出先で災害等にあったとき避難所や自宅にたどり着くまでに行動用の食料を、自宅等から脱出する必要が出たときに行動用に加えて休息用を、単にインフラが寸断されたときには拠点用の食料を、などのシチュエーションに合わせて合理的な組み合わせで備蓄するときの考え方として、今回の分類が役に立てばと思う。

 

ファイヤースチールで火を熾す

ファイヤースチールでの火熾しはライターで行うよりも少し難しくなるが、その耐久性と可用性はすさまじく高く、サバイバル状況下では頼もしい存在だ。

ファイヤースチールの使い方は昔ながらの火打石の方法に少し似ているが、火打石よりも断然簡単にはなっている。しかしながら、その方法は現代ではあまりなじみの無いものになってしまった。ちょっと日常生活で見ない方法となってしまったので、ただファイヤースチールを渡されただけではどのように火をつけるか解らないと思う。

上の動画では燃やすものはすべて自然物である。火打石ならもう少し手の込んだものに火花を移さないと火がつかないが、ファイヤースチールだとほぐした繊維のようなもので火がつく。

ファイヤースチールでの火熾しはレクリエーションとしてもなかなか面白いので、キャンプなどの機会がある方は挑戦してみるのも面白いと思う。