サバイバルの知識とは何か

サバイバルの知識というものは、おおよその方は雪山のビバークや密林での遭難などの時に必要とされるような知識であると考えられていたかと思う。しかし、最近では東日本大震災があり、文明圏においても生存が厳しい状況に陥ることもあり、大災害の危機的状況に況に対処する方法を含めてサバイバルと認識されている方も増えているだろう。まさにその通りで、危機に瀕しての生命保護はサバイバルの第一目標である。多くの方の興味はこういった災害直後の生存戦略であるかと思う。

一方で、直近の危機を乗り越えた後に生命を存続させ続けることもまたサバイバルである。少ない物資の中で、効率よく安全に心身を健康に保つかという命題に挑み続けてきた人類の英知がすなわちサバイバルの知識であると思う。

サバイバルの知識はあり物を使って生活をよくするものであるということでもある。達人は着の身着のままで森にでても、まるで設備の整ったキャンプ場にフル装備でキャンプにいったかのように楽しみ、健康で活力に満ちたまま帰ってくる。しかもその間には様々な道具まで自作してしまう。

こういったことは、物事の本質を知っていないと難しいことだ。例えば危険な水と安全な水の違いは何か、どのようにしてその危険を除くかというのは細菌や原虫などの生物や有毒鉱物などの化学物質についての知識が必要である。こういったものは装備で補いうる場合が多いが(実際いままで数回紹介したものは知識が多くなくとも利用できるものだ)、知識があれば、そこらの自然物から対処するための道具や設備を自作する事ができるし、装備が機能しない場合でも対処できるようになる。

日常生活でも、サバイバルを見据えた知識は生活をよりよいものにするだろう。周囲の植物や動物に注意深くなり、豊かな自然の変化や小動物の存在に気づくだろう。また健康に気をつけるようになる。工作の技術やロープワークの知識は簡易に何かを作るときに役に立つ。きっちりとした知識は意外と広く応用が利くものだ。

つまるところ、どんなときでもよりよく生きるための知恵となりうるのがサバイバル知識ということができよう。