専用バーナーで灯油を使った調理と暖房

普段我々が使っている調理用のエネルギーといえばガスか電気である。ガスであれば天然ガス、プロパンガス、そしてカセットコンロのカセットガス(主にブタンガス)であろう。電気であればIHヒーターか電熱器式コンロである。この中でライフラインが切断されたとき利用できるのはプロパンガスとカセットガス、持ち運べるのはカセットガスだけである。

また暖房用途でいうなら、電気でエアコンや電熱ヒーター、燃焼系ではガスファンヒーターや石油ファンヒーターや石油ストーブである。灯油を使った石油ストーブはライフラインが切断されても燃料がある限り使用でき、一部カセットガスを使ったストーブでは持ち運べることもできるもののほとんどは持ち運びを前提として作られている物ではないから避難時に利用できるものではない。また暖房用器具はおおよそ調理に向いていると言い難いものである。

そういったことがあるので、災害時、安全な場所で暖を取り食事を作る場合はそういう用途にむいた熱源があると良いだろう。サバイバル時には周囲の燃料となるものを利用して焚き火などで済ませることもできるのではあるが、専用の器具と燃料があるにこしたことはない。便利さと安定度は格段に上であるからだ。

そういうとき、アウトドア用として作られた製品が適することがよくあるというのは何度か語ってきたことであるが、調理・暖房用の熱源の場合もそうである。アウトドア用途ではカセットガスやOD缶と呼ばれるガスによるものや、アルコールランプのようなもの、固形燃料のものなどあるが、寒冷地でも十分使えるとされるものに石油使用のバーナーというものがある。

液体燃料系のバーナーで一番有名で人気があると思われるのはガソリンバーナーであろう。ガソリンを燃焼させてその熱で調理なり暖房なりをおこなうものである。しかしながら、これを非常時の備えとしてみるのは少しばかり趣味的過ぎるところがある。備えとしてみる場合、燃料の保存と入れ替えを考えなければならないが、ガソリンは保存に特殊な容器が必要で、また取り扱いに十分気をつけなければかなりの危険が伴うからである。

そういったなかで、同様な仕組みで調理・暖房ができるもので、灯油バーナーがある。灯油式のバーナーは、その取り扱いはガソリンのものとあまり変わらないものの、灯油はガソリンと比べ揮発性が低く扱いが楽であり、また灯油式の暖房器具を利用しているときには燃料の備蓄も入れ替えも負担が少なくてすむ。

灯油式のバーナーの中でも、武井バーナーの501A(パープルストーブ501)は特にそういった利用に良いものであろうと思う。満タンで2.8Lの燃料を入れたとき連続燃焼時間は10時間あり、湯を沸かす能力は1Lの水を冬で4分程度でわかせるという。また、セットで暖房用の輻射器(ヒーター)も付いており、効率的な暖房も望める。使用燃料が灯油であるので、燃料の確保、貯蔵、入れ替えも楽であり、アウトドア用のバーナーとしては重いという(2.5kg)評価もあるが、登山などのシビアな条件でなければ能力に比して十分であろう。

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専用のバーナーを災害備蓄として購入するのは敷居が高いし、決してやすいものではないので他にも利用することがある可能性がある方、アウトドアや釣りなどで熱源が必要になりそうな方は検討してもよいだろう。

コンパクトなウッドストーブ

木を燃やして暖を取り、また湯を沸かし調理するというのは、アウトドアの醍醐味であり、サバイバルにおいては基本でありまた重要な技術である。

木を燃やすこと、つまり焚き火は基本であり、太古の昔から行われてきたことであるのだが一方でその手法は様々ある。技能によって使える方法や使えない方法、複雑で手間はかかるがより効率的な方法などあり、知識を得て経験をつめば効率的で使いやすい焚き火やかまどを作ることができるようにはなるが初心者や経験者でも雨天など悪環境では難しい場合もある。

他にも周囲の環境によってはかまどを作る材料が得難い場合もあるし、そもそもそういった構造物をつくるために時間をさけない場合もある。かまどを作り、また空気の流入に気を使って焚き火を組むのは時間がかかるし火が大きくなるまでは気を使う作業でもある。サバイバル状況では特に火を確実に得たいから焚き火の扱いには気を使うところである。

そういったことから、火を焚く環境が持ち運べるならばそれにこしたことはない。実際ウッドストーブと呼ばれる製品群が存在し、アウトドアファンの中で一定の人気を得ている。そういった製品はつまるところ持ち運び式のかまどであり、少しばかりかさばる場合がある。たいていはそのスペースに他の装備をいれるなりするが、装備の容積の制限となることは避けられない。そういった中で、折りたたんでコンパクトに収納できる製品が存在する。

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もはやウッドストーブの中でも定番といえるかもしれないほどになっている折り畳みのストーブは、単純な構造でありながら通気と防風、そして五徳の機能という火を使った調理に必要な機能をおさえており、大変通好みの仕上がりとなっている。

上の動画を見ると、細い枝しか燃料に用いていない中でも十分に調理できている。これは燃料に制限があることもあるサバイバル状態であっても活躍できる装備であることを示しているといって良いだろう。コンパクトで、しかもチタン製のものは軽量でもあるから、装備の容積と重量が逼迫していなければ検討しても良いだろう。

小さな固形燃料ストーブ - エスビットポケットストーブ

サバイバルで湯を沸かしたり、調理したりと火を使うことは多く想定される。暖かな飲料や料理は体を温め、体力と精神力の維持に大変に役に立つし、何より寒い時期では熱い湯の一杯が生死を分けることだってある。

それがゆえにサバイバルでは火が大事である。火熾しの技やストーブ類(アウトドアでストーブというと調理などのために火を出すものを言う)に注目がいくのも火が生命維持に大きく役立つものであるからだ。

一番手に入りやすく、また持続性が高いと思われるのは薪を拾っての焚き火である。災害時、遭難時などサバイバル時に最小限の装備で焚き火は可能であり、また燃料も特殊なものでないから薪を集めれば長時間焚き火を続けられる。サバイバルといえば焚き火といって良いくらいである。

しかしながら、焚き火はその開始と撤収に時間がかかる。焚き火のための薪を集め、焚き火構造物を作り着火し、火が大きくなるまで調節してやる必要がある。また焚き火終了後、消火を確実にして火災の発生を防がねばならない。つまり、手軽ではあるが手間と時間がかかる、いわば鈍重な方法といっていい。

こういった焚き火の性質は、拠点をもってそこでしばらくすごすならば良いのであるが、避難中やその他の目的での移動中では足かせとなるものである。焚き火を熾せず休憩時に水を煮沸して飲めないとか、または休憩が長引き移動が遅くなるなどが考えられるだろう。

そういったことにならないように、登山などの際にはガスやアルコール、ガソリンといった燃料で調理等を行うようにすることが多い。もちろんそれは環境へのダメージを考えてもいるのであるが、薪を探してまわるなどするよりも断然フットワークが軽いのである。

だが一方でそういった液体・気体の燃料を使うストーブは少しかさばる装備となりがちである。ガス缶とストーブ本体と五徳、もしくはガソリンストーブ本体と燃料タンクなどアウトドアに慣れない人には少しばかり大仰に思える装備となってしまうし、避難用のパッケージとして極小の構成を考えるときには入れることができないサイズとなってしまう。

そういったことを考えたときに、最適と言えるのがエスビットストーブである。

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この小さなストーブは長辺でも10cmという極めて小型で携帯に良い。基本的には付属の固形のタブレット型の燃料を使うが、この付属の燃料も携帯に向き(煤は多く出るが)燃焼時間と熱量的にも簡易な利用では不足は無い。このストーブは固形燃料の燃焼用の台としてだけでなく五徳としても働き鍋などを置くにも十分な機能を持つ。

エスビットストーブはさほど大規模な利用を想定した装備ではないが、燃料タブレットを複数使えば炊飯などの用途にも使うことができアイデアしだいで幅広く使える上に携帯性がいいので、トランギアのメスティンと同じく愛好家の多い道具でもある。メスティン同様、価格の安いことも使用者の多さにつながっているかもしれない。メスティンとの組み合わせだと、エスビットストーブがメスティンの中に入るため、携帯性のよさを最大限に発揮することが可能である。

エスビットストーブの利用のアイデアは、その愛好者の多さもあってか、調べるいくつも出てくるが、基本は燃料の燃焼台と五徳としての使用である。コンパクトですぐ展開でき、シンプルで扱いやすいという道具として大変優れている。付属の燃料は好みが分かれるところである様だが、他の固形燃料を代用する方法もあるので好みのものをさがすといいだろう。

コンパクトで展開も撤収もしやすいストーブであるエスビットポケットストーブ、避難用の装備に小さな空きでもあれば利用を検討してみてもよいのではないだろうか。