斧で木を切る

木を切り倒して大きな木材を得るときに、鋸を使わず斧だけで切り倒す方法は以前に紹介した。しかしながら、例えば10メートルの長さの木であれば長すぎて取り回しが悪すぎるし、重量も長さに比して大きくなり、人間の手で扱いにくい重さになる。

そういう時、木を必要な長さに切ってやるわけである(玉切り)が、これも斧だけで行うことができる。

木を切り倒すときとは違って、追い口や受け口の位置を気にすることなく、右から、左からと斜めに切り込んでいくだけである。下のほうへの振り下ろしになるから、足に当たらないようにしっかりと上から下へ振り下ろすようにしている。円弧を描いて振ると、万が一にでも木にあたらなかったとき、その勢いのまま足に当たってしまうからだ。林業はそれでなくとも事故の多い仕事であるから、安全に十分注意する必要がある。

動画を見れば分かるように、斧一本で結構早くに木を切ることができている。斧が1つでもあれば、様々な木工作業ができるのである。

スプーンメイキング

サバイバルを考えるとき、意外と忘れがちなのは食器である。紙皿なんかはあるけれど、箸やらスプーンやらがなかったりすることだってあるだろう。もしくは破損したり紛失することもあるかもしれない。

そういったとき、文明人の生活を保つためというだけでなく、衛生上の問題からも箸やスプーンを用意できたほうがよい。ナイフがあれば箸の作成は木を削って2本の棒にするだけであるから、使い勝手はともかく、作成が容易であることはほとんど自明のこととしてわかっていただけると思う。だが、スプーンはそこそこ難しい。

まずは動画を見ていただこう

作成の過程で、曲がった特殊なナイフが出てきたと思う。木からスプーンを作る動画を探すと、おそらく全ての動画にこの類のナイフが出てくる。クルックナイフとかフックナイフ、スプーンナイフ等とも呼ばれるこの種のナイフはくり抜くために作られたナイフである。スプーンを作ったり、木のカップを作るのにも使うことができる。

ただし、サバイバルのときにこのような専用の工具があることを期待してはいけないだろうと思う。そういうときには、くり抜く作業を何とか普通のナイフで行うことが必要になる。もちろんナイフの切っ先を使えばある程度は木をくり抜くことができる。これは慣れの問題になるが、かなりの深さまで木を掘り進めることができる。しかしながら、その表面の滑らかさや作業の効率は比べるべくもないくらい悪い。作業の遅さはどうにもならないが、表面の粗さに関しては石などでヤスリがけをして整えることは可能である。

サバイバル時には手元にあるものから必要なものを作ることが求められてくる。その製作にはときに工具の不足から非効率な作業を強いられることがあるが、それが必要であれば多少のことは工夫して乗り切ることが必要だ。

水を得るために - 簡易浄水器を作る

人間の生存に水は必須である。とはいえ、生水を飲んでは様々な細菌を初めとする病原生物により体調を悪くし、水分を取ったつもりが脱水症状の原因になり、また、悪い場合には命にかかわる症状を引き起こすこともある。

そういったことを防ぐのに一番単純な方法は煮沸であるが、それには燃料が必要であるし、沸かす道具が必要だ。また、煮沸する時間は短いと言いきれないほどには長い。つまるところ煮沸による飲料水の確保は多大な労力を要するということである。可能であるならば浄水器を利用したい。

しかしながら、その浄水器は文明の産物だ。しっかりと確実に病原体を除去する浄水器は手軽に持ち運べるが、そもそもそれを携帯していない場合には使用はできない。

そういったときには有るもので浄水器を作ってしまおう。簡単に手にはいる物でも意外としっかりとした浄水器を作ることができる。

この動画では、ペットボトルの底を切り、口の側から砂利・砂・炭・砂・草と詰めている。砂利は砂が落ちないようにするため、また草は大きなゴミをとり、また他のつめている物が落ちないようにする蓋の役目をしている。初めは使用したものの汚れが出てくるが、水を通しているうちに自らがろ過した水で内部が洗われていくので、次第にきれいな水になってゆく。

この浄水器は単純なものではあるが、実のところ浄水場のろ過器に近い構造を持っている。そのため、適切な薬品の添加等でろ過の効果を高めている浄水場と比べて劣るものの、結構なろ過をすることができる。

動画ではペットボトルを使っているが、竹の筒を使ったりすることで自然物だけで構成することもできるし、ペットボトルでない筒状のものでも作ることは可能である。基本の構造が分かっていれば応用を利かせて作ることができるだろう。

また、この浄水器は中空糸フィルターなどを使用したハイテクノロジーの浄水器と組み合わせても使用できる。いきなり浄水器を使用してろ過するのではなく、簡易浄水器をまず通した水を、高度な浄水器に通すことで、高度な浄水器の目詰まりを軽減し、寿命を延ばすことができる。これにより、より安全な水をより多く得ることができるのである。