非常時こそ爪を切れ

普段の身だしなみとして爪を切ることは、まぁ大体の人がしていると思う。災害時でも生きている限り爪は伸び続け、当然それに伴って爪を切る必要が出てくる。

これは実のところ、見た目の問題にとどまらない。もっと切実な問題があるのである。

爪が伸びていると起きる事態を考えてみると、爪の間に汚れがたまったり、土が入ったりすることが考えられる。衛生的な点で言えばこれが種々の感染の原因になったりする。十分に水洗いできない環境では拭いてすませることも多いだろうが、爪が長いと十分に清潔にすることができなくなるのである。

また、爪が長いと怪我の危険がある。爪が長いと爪を引っ掛けて爪がはがれる可能性が高くなるのである。爪は手というか指先を使う上で重要な役割をしており、爪がはがれるような怪我を負うとつかむのに大きな痛みを伴うようになる。また、不衛生なものを触る機会の増える災害時にはその傷口からの感染が大きな問題ともなる。

爪がはがれるところまで行かなくても爪が長いと爪が割れたりする危険も多くなるし、また長い爪は色々な作業の邪魔にもなる。

したがって、災害時には爪を切ることが重要になってくる。作業の効率を高め、怪我の可能性を少なくするためにも爪を短く保つことが必要なのである。

普段から爪を短くしている人は落ち着いてからでもよいが、ファッション上の理由で爪を長くしていたり、そろそろ切ろうかと思っているときに非常事態に見舞われた場合などでは即座に爪を切った方がよいときもあるだろうから、できるならば爪切りを常備しておきたいところである。コンパクトにたためる爪きりなんかもある。

もしくは爪切りがない場合にはハサミで爪を切る方法もある。注意深く切る必要があるが、よく切れるハサミで切った場合、爪切りで切ったときよりも切り口がきれいになる場合もある。私もツールナイフを買ってしばらくは、習熟のために爪を付属のハサミで切っていたことがあるが、ヤスリがけの必要もない滑らかな切り具合であった。

災害時、すぐに必要なくとも時間が立てば爪は切る必要があるし、日常でも身だしなみをいつでも整えられるよう一つくらいは爪が切れる道具を用意しておいても損はないだろう。

VICTORINOX(ビクトリノックス) ネイルクリッパー 8.2055.CB 【日本正規品】

新品価格
¥1,100から
(2013/8/3 22:27時点)

地震の後10分でするべきこと

地震の揺れが収まって無事だったとき、やれやれと終わらせることはできない。生命・財産を守るためにやらなければならないことが数多くある。大きく分けると被害拡大の防止と情報の収集である。

火の始末をして火を出さない

まず第一に火の元の確認である。ガスコンロやストーブの火の始末などは基本であろう。今では多くの機器で自動停止機能があったり、ガスの供給がストップしたりするシステムが発達しているが、停止機能の故障や、自動停止するほどの揺れでなくても落下物に引火、もしくは発火するような状態になっていないかも確認しなければならない。また、ガス供給の停止があった場合はコンロの火は消えるがガスは出る状態になっているから、コンロのつまみは消火の位置にし、元栓も閉めるようにした方がよいだろう。

電気製品も火災の原因に

次には電気の確認である。電気ストーブやコタツ、電気コンロなどの電熱器具は火災の原因となるから停止、および周囲の確認をするべきであるし、他の電化製品も破壊されてしまっているものは火災の原因となりうるから、そういったもののコンセントを引き抜き通電しない状態にする。また、落下物がコードを傷めてショートするなどのことも考えられるから、全体の被害を確認するのがよいだろう。一番手っ取り早くて確実なのはおおもとのブレーカーを落とすことである。ショートによる火災は気づき難いが通電していなければ発生しないからブレーカーを落としてから確認しておきたい。また、停電時でも、後に回復した際に火災が発生した事例もあるから、ブレーカーを停止しておきたいところだ。

正しい情報が身を守る

被害拡大の可能性を排除したら、次は情報収集である。といっても、停電の状況を想定するならラジオでの情報収集が主になるから情報収集しつつ他の作業も可能であろう。情報収集の重要な点は、津波の有無を知ることと、周囲の被害の大きさを知ることである。

津波の可能性があればとるものとりあえず高台に避難する必要がある。到達時間によっては救助活動ができるかもしれないが、津波のことを知らない、もしくは余裕がないのに救助等をしていては二次被害の原因となる。津波の可能性があればできうる限り迅速に避難しよう。

また、周囲の被害の大きさで救助や避難の仕方も変わってくる。被害範囲が広く、被害甚大である場合には、レスキューの到達や病院での治療に期待することが難しくなってくる。比較的狭い範囲であった阪神淡路の震災のときでも周囲の人の救助が大半であったが、より広く、大量の人が被災した場合、より難しい状況でもその場の人間が対処しなくてはならないから、専門家でなくともありあわせの知識で救命を行う必要があるだろう。狭い範囲の被災であれば、レスキューの手も十分に足り、医療機関も素早く対応できるであろうから、難しい要救助者は専門家に任せることができる。

少しでも早く行動して安全を確保することが重要

揺れの直後はひとまず安心してしまうが、貴重な数分を無駄にしないようにしよう。即座の行動と正しい方針の決定が生死を分けることになるのである。

地震に合って10秒でするべきこと

まずは身の安全が第一

地震が起きたとき、一番に優先するべきことは身の安全の確保である。突如大きな揺れに襲われた場合にできることはわずかしかない。身の回りのものを使い、まずは自身の安全を確保するべきである。特に守るべきは頭部で、頭に落下物を受けて気を失うなどがないようにしよう。

寝ているときならば枕や布団で防御し、机があれば机の下、机が入りにくいなら椅子やクッション、キッチンでは御盆や空の鍋、風呂では桶等、その場その場の丈夫なもの、クッションになるものを利用しよう。

前兆現象・アラーム等で早めの行動を

突然に大きな揺れに襲われた場合には身を守ることに専念した方がよいが、場合によってはゆれる前に準備することもできる。地震動は大きく2つに分けられ、大きな揺れの前に初期微動と呼ばれる小さな揺れが感じられることがある。この前兆現象を感じてある程度の事前行動を行える。また、現在では地震の前兆を察知して警告するシステムも多く存在するのでそのアラームを聞いて行動することも可能だ。

事前に行動できるといっても、その時間は数秒や長くても十数秒くらいと思った方がよいだろう。その間にできることはずいぶんと限られるが、それでもいくつかやっておきたい重要なことがある。

扉や窓は揺れで開かなくなることも

まずは扉や窓、何でもよいから脱出口となるところを開けておくことである。大きな揺れが起きた場合には扉や窓の枠がゆがみ、開かなくなることがある。そういった場合に外に出るのは大変に手間がかかる。地震後に十分に時間が取れる場合にはさほど問題にはならないかもしれないが、隣家・隣室から出火したり、今まさに居る建物が倒壊しそうなときには一刻の猶予もない。すばやく脱出できるようにできる限り脱出口の確保をしておきたい。

非常用持ち出し袋は確保したい!けど持ち出すことをこだわり過ぎてはダメ

また、余裕があれば身の回り品、非常用の持ち出し用品の確保も合わせて行いたい。メガネや常飲している薬を準備しておくことはもとより、車の鍵や倉庫の鍵などがあれば回収しておきたい。非常用の持ち出し袋などは、余裕がなければ置いて出る覚悟も必要である。余裕があればもっていた方がよいことは確かであるが、まずは身の安全が第一である。大きな揺れの前に気づくことができたらこれらのものもなるべく確保しておきたい。

そのときどうするか イメージトレーニングをしておこう

地震のときは一瞬一瞬が貴重である。揺れがおきたとき、優先順位を確りと決めて想定しておけば貴重な数秒にすばやく行動することができる。様々な場所での緊急時の行動を想定し、心の準備をしておくことが生死を分ける判断を正しくするための一番の方法になるだろう。