メタルマッチで可燃液体に火をつける

メタルマッチはサバイバルに興味がある人間が何か装備を買おうとするときにまず初めに手に取るものの一つである様に思う。手軽な大きさと価格、そして何よりサバイバルを体現する火をつけるタフな道具であるからである。そういったサバイバルの必需品のようなものであるから、幅広く所有者がおり、またその使い方は様々である。

一般的な、通常の火付けの仕方では、メタルマッチの高温の火花を利用して、枯れ草やよく乾いた木の皮を毛羽立たせたものなど、火のつきやすいものに着火する。しかしながら、その場合、素材によってはかなりの修練と根気が必要とされる。サバイバル教官のような人でもコンディションが悪いと何十回もトライしなければならないこともあるのである。一方で、よい火口、よい可燃物を使えばメタルマッチを使用することで一瞬で火をつけることが出来る。

この動画ではアルコールと揮発性溶剤に火をつけている。筆者も装備には飲用の高濃度アルコール(スピリタスウォッカ)をいれてある。ティッシュペーパー単体では火がつきにくいが、高濃度のアルコールを含ませれば比較的容易に火がつけられる。また、火付けだけでなく、アルコールランプを即興で作るなどにも使用できるだろう。アルコールはサバイバルの観点からは断然飲用可能なものがよい。

サバイバルはアイデアしだいで様々な装備構成を考えられる。焚き火装備にしても、一つのものにとらわれず柔軟に装備を考えてみるのも良いだろう。

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健康な皮膚からでも感染する野兎病

サバイバル時には病気に罹ると致命的となるリスクが高くなる。同時に、野山に入るようなことも発生する。野山には厄介な病気がいくつかあり、それらは適切な処置と投薬無しにはかなり危険なものが多い。今までもマダニが媒介する病気などとりあげてきたが、他にも厄介な病気が存在する。その一つが野兎病(やとびょう)である。

野兎病はその名の通りノウサギから、またその他のげっ歯類を主とした感染源として直接・間接的に人間に感染する。そもそも野兎やげっ歯類間の感染はマダニが媒介しており、マダニも気をつけなくてはいけないのであるが、特徴的なのは、感染した動物の死体からでも感染するということである。それは野兎やげっ歯類だけにとどまらず、感染した鶏や猫から感染した例もある。

幅広い感染源も厄介であるが、より注意しなければならないのは野兎病は健康な皮膚からでも感染しうるということである。通常体液感染などでは皮膚の細かい傷や粘膜などから菌ないしウイルスが侵入して感染するような病気が多いのであるが、野兎病菌は感染力が強く、健康な皮膚からでも侵入し増殖する。

したがってまず野生動物には触らない(生きているか死んでいるかかかわらず感染例がある)というのが予防の原則である。野兎の剥皮作業や調理の際に感染することが多いので、おおよそほとんどの一般人はそういった接触は少ないから感染の機会は少なく、日常生活ではさほどの脅威ではない。

一方で、サバイバルである。非常時に食料を得ようとして狩猟を考えるならば野生動物を捕獲し捌く必要がある。皮を剥ぎ、肉を解体し、調理して食するのである。必然的に野生動物に触れ、特に体内、血液によく触れることとなる。未治療では約三割が死亡するという話もあるため、食糧確保のために感染しては一大事である。予防には接触しないという方法があるが、これは手袋を用いて直接触れないという手段も取れる。食料を確保する際に病気にならないようにビニールないしゴムの手袋を用意したいところである。

なお、ありがたいことに野兎病は全地球的な病気ではなく、およそ北緯30°より北の北半球に多い病気のようである(恐らく媒介するマダニがそのあたりの気候を好むのだろう)から、それより南の方はひとまず安心である。ただ、日本はだいたいその範囲内である。近年(2008年)でも青森県、福島県、千葉県で合計5例の感染が報告されているから、頭の隅にでも知識を置いておいていただければよろしいかと思う。

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実践ではアウトドアマナーを守るべし

サバイバルの訓練の一つとして有用であり、また楽しいのがアウトドアレジャーである。夏のシーズンにはキャンプ場などはレジャー客で賑わうものであるが、サバイバルの知識と経験を積みたい者にとってもこの時期は家族などを誘ってレジャーがてらに色々と実践できるいい機会である。

だがしかし、アウトドアレジャーのために我々に与えられる場、キャンプ場などの施設は何をやってもいいという場所ではない。おおよそ全ての土地にはその所有者が居り、そこを借りているからには従わなければならないルールも存在する。忘れてはならないことだが、我々は規則によって縛られると同時に守られている。非常事態では法律やルールを固持するだけではいけないが、平常時ではルールを守ることこそが身を守るのに有効な手段である。

アウトドアにおいては、規則はおおよそ「場所」のものと「行動」のものとに分けられるだろう。「場所」はつまり立ち入りの禁止であったり注意であったりする、所有者が違ったりする場合や、もしくは危険な場所だったりすると侵入の禁止がされていたりする。みだりに侵入すると罰則を受けたり、もしくは危険な目にあっても自己責任ということになったりするだろう。また水場も注意が必要で、上流のダム等の放水や、天候の変化で容易に増水し、あっという間に流されたりする。時たま川の中州に取り残されている集団が救助される報道を見かけるが、それはアウトドアの鉄則を知らないか軽視したために大変な状況になっているのである。

一方「行動」はおおよそ禁止行動である。一番大きく言われるのは焚き火に関する項目である。多くのキャンプ場では直火の焚き火は禁止ということがある。これは直接地面の上で行う焚き火の禁止である。サバイバル愛好家としては地面の上で火を熾したいものであるが、禁止である。このことは火災の防止と景観の保全の両面から禁止になった背景がある。直接地面で火を熾すと、その後の処理が雑になる傾向がある様だ。つまり土を軽くかけるだけで消火したつもりになり、そのまま放置するなどすると、炎は消えたが炭はくすぶったままになるなどの事故の原因となる状態になりやすい。またきちんと消火された炭でも乱雑に放置されると景観の悪化を招き、管理者の負担になる。

注意書きなどでは一文で済まされるものでもその背景には様々な理由が存在する。したがって、安全に配慮する意味と、場を整備する管理者の負担軽減の両面から、管理側から言い渡される各種の注意事項と禁止事項については素直に受け入れて従い、安全で楽しいアウトドアレジャーとサバイバル技術の実践をしてもらいたい。

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