変則的なスウェディッシュトーチ

前に調理用としても明かりとしても移動できて便利なスウェディッシュトーチを紹介したが、スウェディッシュトーチはその構造上、一定の太さの丸太が必要とされる。斧がある場合はそういう木を切り出すこともできるのであるが、ナイフしかないような場合や、あってもツールナイフについているような短いのこぎりのみの場合はそういったことは難しい。

こういう場合にスウェディッシュトーチの技術は役立たずかというと、実はそうでもない。スウェディッシュトーチは、つまるところ木の壁で覆われた筒状の燃焼装置として見ることができる。木は可燃性があるが、温度が高くならなければ燃えないし、吹きっさらしだと温度は下がりやすいから、トーチの外部が燃えないことで、他の燃焼器具のように燃えない外壁を保てるのである。

したがって、太い丸太が無くともそれに代わるもので似たようなものを作ることができる。具体的にはある程度の太さの丸枝、もしくは細めの木の幹を束ねて使うというものである。太めの木材を複数本束ねれば、外側が燃えず中が燃えるのに十分な木の厚みが出せるし、それぞれの間にはどうしても隙間ができるからそこから空気が入り、内部が燃えるのに十分である。

これのよいところは、太い丸太を用意するよりも断然労力が少ないし、材料が手に入りやすいところにある。また、どれだけきっちり合わせようとしても、曲がりやそれぞれの大きさの違いで隙間ができるから、本式のスウェディッシュトーチに比べて通気に気を使わなくて良いというところがある。

ただし、この方式のスウェディッシュトーチは木を束ねて作るから、そのためのロープなり針金なりが必要である。可燃性の紐を使うなら水に浸すなりの手当てが必要になる。金属の針金は使い道は色々とあるからいくらか用意しておくのもよいかもしれない。