今年一年振り返って

今年開始されましたsuvtechですが、150もの記事をお送りしてまいりました。ひとえに御覧になってくださる皆様のおかげです。ある種特殊なジャンルのブログでありますが、一定数の支持を得られていることは本当に支えとなっております。

災害の多い日本にあって、災害への備えに無関心でいられる人はそう多くはないでしょう。また、日々に漠然とした不安をもっているかたもまたおられるとおもいます。

2011年のあの日から、いまだ傷は癒えません。いや、私にとってはもっと前、阪神の震災のときから癒えてはいなかったのかもしれません。日本に住む人間には直接被害を受けたというわけではなくとも大災害によりそういったショックを受けている人が多くおられることと思います。

私がこのsuvtechで書き続けているのはそういう危機への不安へ立ち向かうための武器であると信じています。サバイバルの手法、道具、そういったものたちが武装となり、各々の自信になり、力になることを願っています。

みなさん良いお年を。そしてまた来る年にはsuvtechにお越しください。皆様の生存力の糧になれるような記事を送り出せるように努力してまいります。

suvtech著者 koguni

密閉空間の危険 : 閉鎖環境で酸素はどれだけもつか

前回にイグルーというかまくらを紹介したけれども、そういった即席のシェルターといったようなものは入り口の気密は完璧でない。大体においては入り口だけでなく、全体的に隙間が空いていたりして気密はよくない。これは保温の観点から言うと欠陥といえるのであるが、一方でその中に長時間滞在するためには必要なものであるという面もある。

少し考えてみると、雪で作ったシェルターが完璧に閉ざされているとき、これは雪崩で雪に埋もれたときと同じような状況になっていると気づくだろう。無論雪の重みで押しつぶされているのではないが、そこには空気の出入りがない。つまるところ、どちらも密閉された空間となるのである。密閉空間では酸素が供給されない。酸素が供給されないということはいずれ酸欠の危険が発生するということである。

酸欠の危険性はかまくら型のシェルターだけでない。近年では通常の家屋のなかでも起こりうる危険となっているから油断はできない。特に、最新式の暖房効率のよい建物は要注意なのである。

昔ながらの家であれば隙間風などにより自然と換気がなされるものであるが、現代の最新式の高気密住宅であると、その断熱性能と引き換えに換気は皆無といっていい。そのため高気密高断熱の住宅には必ず換気システムが併設されている。しかし、そのシステムには電動のファン(送風機)がつき物である。それが意味するところは、非常時、停電に陥ると換気機能が停止するということなのである。

古い家屋でも、立て付けの良い、つまり隙間風がうなるように入っていない家屋であると、暖房器具などによる酸素消費や大人数が部屋にいるなどの悪環境があると危険が生じてくる。燃焼式の暖房器具やガスコンロなどの場合では一酸化炭素中毒の危険もあるのでより危険度が増す。寒いのは我慢して定期的な換気を心がけるべきであろう。

そうは言っても、常に窓を開け広げて寒風吹きすさぶなかで生活するわけにもいかない。換気の必要になる時間というのはどれくらいだろうか。これは、空間にある酸素の量と1人の人間が消費する酸素の量からおおよそ割り出すことができる。

空気中にはおよそ21%の酸素が含まれている。また、呼吸するとき吐き出す呼気の中に含まれる酸素の量はおよそ16%である。したがって空間の体積の半分の量を呼吸した場合に空間内の空気中の酸素量は18.5%程度となるだろう。酸素欠乏症が現れるのは空気中の酸素が18%未満といわれるので、空間内の空気が完全に攪拌されて理想的に消費されるような状態ではない現実においては十分に危険な数値である。したがって、限界として空間の体積の半分を呼吸するまでには換気するべきである。

人の呼吸量は個人差があるが、平均的には体重50kgの人間の呼吸量が呼吸一回0.5リットルで1分間に20回、すなわち1分間に10リットルの空気を呼吸する。つまり1m3(1000リットル)の空気があればその半分を呼吸する50分が限界ということになる。平均的な部屋として6畳の部屋を想定すると、この部屋の空間はおおよそ24m3となる(部屋の高さなどで増減する)から1200分、20時間が限界となる。実際には家具やその他の物品で有効な空間が減少し、また肺活量その他で必要な新鮮な空気の量は多くなるからもっと早く限界は来るかもしれない。安全にその半分、10時間に一度は換気をした方が良いだろう。

ちなみにこれは一人のときの計算である。2人なら上記の半分の時間で限界が来るし、6人くらいになってくるとさらに短く3時間程度で限界に到達する。災害時などでは無事な場所に複数人が集まることがよくあるが、そういった場合には換気にも気をつけたいところだ。サバイバル時のシェルターなどでは特に狭い場所に集まるようなことになるから、換気を心がけ自ら酸欠の危機のある場所を作り出さないように心にとどめておいて欲しい。

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感想(3件)

イグルー : エスキモーのシェルター

冬、どうしようもなく寒い、例えば-10℃の雪原の中で遭難した場合にどのような方法で身を守り、休息したらよいだろうか。これは、大仰な、仮定の話だけのことでなく、日本国内でも、例えば北海道などでは起こりうることである。天候の回復まで待てれば、あるいは生存できたかもしれないという痛ましい事故も起きているから極寒の地でのシェルターについて考えることは有益なことであろう。

雪山でのビバークや、降雪地帯での住居の構造など、参考になるものはたくさんあるが、今回ここでは苛酷な極寒の地で暮らすエスキモーの知恵に学んでみたいと思う。

エスキモーはアメリカ大陸北部の氷雪地帯に住む民族の総称で、長らく氷に閉ざされる地域で生活しており、その手法は極寒の地で使用するのに適したものといって間違いない。その中に、住居、イグルーに関するものもある。

イグルーという言葉それ自体は彼らの言葉で「家」を意味するだけであるが、他の言語で言われるときには雪でできたドーム状の一時的な家のことを指す。このイグルーは雪を積み重ねて作られており、言ってみれば大規模なかまくらのようなものである。

ただ、かまくらと違うのは、イグルーは雪のブロックを積み上げて作るということである。雪をブロックとして利用することで、積もった雪を掘り、積み重ねてから中をくり抜くよりも早く作ることが可能なのである。ある程度雪が積もると、下のほうの雪はいわゆる「締まった」つまり硬くなった状態になる。この締まった雪、もしくは踏み固めた雪の塊を切り出してレンガ積みのように積むことでドーム状のシェルターを作成するのである。切り出すのには多少道具があるとやりやすい。スコップやつるはし、またノコギリがあると作業がはかどるだろう。専用のスノーソーなどが売られているが、多少使い難いことを覚悟すれば普通のノコギリでもある程度使えるだろう。

切り出した雪のブロックは、雪同士がくっつく性質を利用しつつくみ上げていく。場合によっては柔らかい雪を接着剤のように使いながらブロックを乗せていくことになるだろう。ドーム状にするには一人であれば相当に慎重に積む必要がある。2人以上で作業できれば一人が中で支えるなどしながら作業すればスムーズにドームを作成できる。

ドームの入り口はドーム内の床面となる部分よりも低い位置に掘り下げて作ることで寒気の侵入を減らすことができる。降り積もった雪の上であれば掘り下げるのもさほどの苦にならないから寒さをしのぐためにきっちり行いたいところ。

これだけでもイグルーの中は外気から守られてずいぶんとましになるが、雪で作っている性質上、人が入って体温で温まろうが、あるいは火を焚こうが、0℃以上にはならない。どうしても雪が融ける0℃以上にすることはできないのである。では本式のイグルーではどうしているかというと内部にアザラシの毛皮を張るのである。サバイバルで利用する場合では、アルミブランケットや、もしくはしっかりとした装備があるならテントやタープ、防水シートなどで覆うことで内部の温度を高めることができるだろう。

雪と氷の中で生活する者達の使うイグルーは、単純な素材、シンプルな構造であるがそれゆえに頑強であり習熟すれば作成も早いそうである。残念ながらというべきか、幸いというべきか、私の住む地域は雪が降ることも稀な土地であるが、人生何があるかわからない。突然北国に行くこともあるかもしれないから、温暖な地域の方々も雪のブロックのシェルターがあるということぐらいは覚えていても損はないだろう。

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