私のエマージェンシーパック その1

CIMG3067今まで非常用のパッケージについて散々といろいろなことを述べてきているが、それを実践するならばどのようになるだろうか。実例として私の日常使用しているミニバッグを見ていきたいと思う。各人の用意できるものや必要と思うものは異なってくるが、これを参考に足し引き等して合うように改良して使ってもらえれば幸いである。

冒頭に示したようにバッグは小さなものである。マジックテープで留める蓋にファスナー付きのポケットが付いている。元はユニクロに売っていたベルトにつけられるサイドポーチであるが、肩紐をつけて肩掛け鞄として使えるようにしてある。

CIMG3068肩紐はパラコードを編んだもので解けばロープとして使うのに十分な長さがある。また紐で時計もくくりつけているが、これは非常時に時計を探している暇はないから、鞄を確保すれば時計も確保できるようにするためである。

CIMG3069ファスナーで閉じられたポケットはアクセスしやすく取り出しやすいのでとっさに出す必要のあるもの、また日常で利用することのあるものを入れてある。

写真では飴、鏡、ポケットティッシュ、メガネ拭き、ツールナイフ、虫刺されの薬である。

飴は糖質を含み脳の活性化に役立ち、また口の渇きを緩和できる。鏡は自分で見えない部分の確認や、もちろん日常での身だしなみのチェックができる。また救助を求めるときに太陽光を反射させて発見してもらえるようにする手法もある。ポケットティッシュとメガネ拭きは日常でのエチケットなどの面が強いが、サバイバル時には衛生や視界が重要でもあるので持っておいて損は無い。

ツールナイフは必要とされるとき、その瞬間すぐに使いたいということが結構ある。日常では封筒を開けるとか緩んでるねじを締めるだとかで、また緊急時ではシートベルトを切らなくてはならないとかロープを切る必要があるなど、ぱっと出して即座に作業したいことは多いから、すぐに取り出せるところに入れてある。

虫刺されの薬もポケットに入っている。薬自体は他の場所に入っているのだが、夏で虫刺されが多い時期にはそれに対応する薬はとりやすい所に入れてある。冬にはリップクリーム等が虫刺されの薬に取って代わることになる。

外側のポケットはアクセスがよいから即座に取り出すものをいれており、また手探りで全て取り出せるようにするため、いれているものの種類は少ない。

その他多くのものは鞄の本体部分に詰め込まれているが、それはまた次回の話としよう。

私のエマージェンシーパック その2

非常用品を外に置く

災害時の備えは重要であることは、ここを御覧の皆様方にはすでに言うまでも無いことであるかもしれないが、その置き場についてはどのようにしているであろうか。

例えばベッドの隣に非常持ち出し袋だとか、押し入れの中に非常食その他を詰め込んでいる人もいるだろうか。あるいは以前紹介したように車の中にそういった品を常備している方もあるだろう。どれも正しく、良い備蓄、準備の仕方であると思う。特に、家の中だけでなく車など、他の場所に準備しておくことは大変重要である。

地震などの災害時に、家屋は絶対の設備とはならない。しっかりと建っているように見える家であったとしても、倒壊などの可能性は潜んでいることがある。したがって、家という一箇所に全てを用意しておくというのはリスクが大きい。

そういうことを考えると、車などに備蓄品を置いておくことの意義は大きい。複数個所に分散することで全ての装備を失うことを防ぐことができるからだ。分散して置く場所は多ければ多い方がよい。家の中でもいくつかの場所に分散しておけば半壊時などに対応できる。

納屋などがあれば、そこに非常用品を置くのはかなり良い手だ。小規模な施設はたとえ倒壊しても人力で埋まった物資を取り出すのに労力が少なくてすむからだ。コンテナタイプの倉庫であればさらに耐久度が高くそもそもの倒壊リスクも低いのでお勧めである。

しかし、なかなかそういった施設を用意するのは大変な場合もある。そういう施設が無い場合にはどうしたらよいだろうか。

マンションなどではできることは少ないだろう。付近にトランクルームの類があればそこを借りてしまうなどがせいぜいであろうか。一方で、一戸建てなどで少しスペースがある場合、小規模であるが手ごろな手がある。雨の入らない容器を用意してそこに入れておけばよいのである。

アイリスオーヤマがなかなかいい製品を出している。屋外物置ホームロッカーという名前通りに屋外に置くロッカーで、大きくなく、また価格もそれほど高くないので手ごろでよい。ほかにも色々ストッカー(収納用品)があるので、好みのものを使って物資を分散するとよいのではないだろうか。



火を焚かずに加熱 - モーリアンヒートパック

食事を温めるときに、一番単純なのは鍋で火にかけて温めるということだ。日常でも良くされているが、この方法は火を必要とする。また、レトルトパックなどは温めるときそのまま湯の中で茹でて加熱することもある。開けて鍋で直接加熱するにせよ、パックされたまま加熱するにせよ、どちらにせよ加熱には火が必要になってくる。

サバイバル中では火を使うのも一苦労であることがある。乾いた薪がなかったり、火を熾す準備をする時間がなかったり、もしくは煙が立つことが許容されない場所であったり、いろいろな事情で火を使うことが難しい場合もある。そういったときの代替手段を用意しておくことは悪いことではない。

今回紹介するモーリアンヒートパックはその火に代わる加熱手段の一つである。水を入れることで反応・発熱する発熱剤である。水が調達できれば、加熱用の袋に発熱剤と水を入れてパック入りの食品を加熱できる。

同様の加熱用品がMRE(アメリカ軍の軍用糧食セット)のオプションとして付いていたりすることもある。この種の発熱剤は火をつけるわけではないので、湯気は出ても煙は出ない。煙が出ないというのは重要で、煙が立つと遠方から敵に発見されることもあるから、軍事組織では重要な点であろう。

サバイバル、災害用品として備えるときは別に敵からの発見を気にしなくても良いのではあるが、火を焚かず、水を入れて加熱するというのはなかなかに便利な点もある。日本は水害も多く、住居や周辺環境全てが水浸しになるときもあるから、火を焚くための燃料を調達することができない可能性も考えなくてはならない。そういうときに水を注げば加熱できる装備があれば温かい食事で体を温めることができるだろう。

このヒートパックはある種特殊な装備であり、あまりこれをメインにすることはできないだろう。扱いも一癖ある(水素ガスが発生するので換気のいいところで使用する必要があるなど)し、火を使うほかの器具(固形燃料などの加熱器具)と比べても割高な感があるからだ。しかしながら他の全ての加熱用の装備に無いアドバンテージがある。様々なシチュエーションに対応するための特殊装備としては大変に意義深いものであるから、1つ2つ用意することを検討してはどうだろうか。