非常食を備えるだけでなく、塩も一緒にいれておくべきである

今回の結論としてはタイトルの通りである。非常時の食料を持ち出し袋等にいれて用意している方は多いと思われるが、食料のパッケージがそれだけで入れられているのではないかと思う。それだけでも最近は味付のものやパンなど塩分のあるものは多いから最低限の塩分量は確保しうるものであるが、しかしやはり状況によっては不足するために食塩を追加できるようにしておくことにこしたことはない。

最近は健康志向の方々が減塩をよく叫ばれているのだけれども、そもそもの生命活動を紐解くと健康のために食塩は不可欠なものである。体内の塩分量(主に塩化ナトリウムのナトリウム分)が低下すると神経活動が不安定になり、また細胞の諸活動が行えなくなる。人間の細胞はカリウム・ナトリウム・カルシウムなどのイオンの移動などによって信号を伝達していたりするのであり、すなわち一つでも欠けると著しく機能不全を起こすのである。その中でも食塩に含まれるナトリウムは血中に多く存在し、汗などで失われる機会の多いものであるから、人間は(というか多くの動物は)塩味を好んで摂取するようになっているものである。

また、脱水症状の防止の面からも食塩(ナトリウム)は必須である。上記のようにイオンバランスを著しく崩すわけにはいかないので、体にはナトリウムの濃度を一定に保つ働きがある。これには体内の水分を排除することでナトリウムの濃度を高める機能も含まれる。つまり、体に水分が足りないからといって水だけ摂取しても、ナトリウムが足りなければ水は体にとどまらず尿として排出される。いや、排出されるだけならいいのであるが、尿に一定のナトリウムが含まれてよりナトリウムを失ったり排出が間に合わず血中のナトリウム濃度が著しく下がったりするとさらによくないこと(低ナトリウム血症、水中毒)になる。そういったことから夏場では熱中症対策で塩分摂取がよく言われるわけだが、これは塩分摂取が少なければ冬場でも普通に起こることである。

さて、ここまでは塩分の摂取が生命維持のうえで重要であることから塩分の追加のために食塩を用意しておこうということを言ってきたが、もっと分かりやすく、そしてサバイバル上かなり重要な理由がもう一つある。食塩はかなり優秀な調味料だということである。調味料としての塩は大抵の料理に塩が直接間接問わず利用されていることからもかなり重要な存在である。

食事の味はかなり士気に影響を与える。例えばアルファ化米の白米しかなくとも塩があれば塩にぎりか塩かけご飯、もしくは水の量を増やして塩味の白粥にできる。そっけないままの白飯を食べるよりも断然いいものである。

もちろん塩だけでなくほかの調味料を付け加えてもよい。コショウやカレー粉、しょうゆにマヨネーズなど様々あるから好きなものをどうぞといったところだ。それでもまず第一は塩を備えよう。塩は生命の根源に一番近い調味料なのだから。

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カロリーブロックを選ぼう

カロリーメイトに代表されるカロリーブロックの類は、食事を取る時間がないなどの忙しい現代社会の真っ只中にある人々に向けて開発・販売されている物であるが、しかしながら、そのコンパクトさと手軽さ、そして保存性などからサバイバルにおいても大変有効な食品である。

具体的にカロリーメイトの話になるが、20g×4本のパッケージは1本が100kcalで計400kcalのエネルギーがある。たんぱく質も8gありカロリー全体からの割合では少しばかり少ないが、同様に重量比のカロリーが高い食品であるジャンクフードの類と比べると上々といえるだろう。その他各種栄養素を摂取することができるため単純にカロリーをとるだけではなく、総合的な栄養補給のために使用可能である。

サバイバルの観点から見ると、カロリーメイトは5kcal/gという重量比のカロリーが高く、可搬性が高いといえる。そして複数収納するのに有利な角型のパッケージであり、水に強いアルミ系の内部パッケージを採用しているので水濡れにも強い。より長期間保存できるロングライフパッケージのものも選択できる。これらの利点は拠点に大量に備蓄するにも鞄などに少量常備するにも有効であり、シーンを問わないというかなり優秀なものである。

最近ではカロリーメイトのほかにもカロリーバランス食品としてカロリーブロックの類は多種でまわるようになったため選択の幅も増えている。これらを選ぶときに重要なのは、味である。味がかなり重要な要素であるというのは、かなりの空腹でない限り不味いものを食べるのは気力の減少をまねくからである。選択肢が増えた現状では我慢して一つを選ばなくてもよくなったのであるから、普段から色々な味のものを食べ比べて好みのものを見つけておくのがよいだろう。食べなれた好きな味が体力だけでなく気力をも回復させてくれるだろう。

ちなみに私はカロリーメイトのチーズが昔からのなじみである。最近はプレーンがおいしいと思っているのだが、以前にフルーツ味がおいしいと食べていたのに今では好みでないという風に味覚にも変化があるので多く備蓄するならなじみのチーズ、手元に少量置いておくならプレーンだろうか。もちろん備蓄食としてだけでなくもともとのバランス栄養食として食べられるから、おいしく食べられるものをうまく消費・循環しながら有効に使って欲しい。

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どんぐりのパンをつくる

森でのサバイバルで食料調達を、というと、一般的な日本の義務教育を十分に受けたならば縄文時代の食生活を思い出す方も多いのではないだろうか。かつては原始的な狩猟採集を行っており、獲物をとり、また木の実などを採集して暮らしていたのである。現代人が行うときには、狩りも十分技術があればできるだろうが季節が合えば採集の方がより確実に安全に得ることが出来るだろう。

採集物は様々なものがあるが、よく実践されている物にどんぐりがある。どんぐりは一つの木の実の種類を言うものではなく、総称であるが、形や性質の似ているブナ科の木の実であり、ほぼ同一の作業によって調理して食される。今回はその一つの形、どんぐりパン(acorn bread)を作っている動画を紹介したい。

動画中ではもう殻が取られた状態だが、その前に殻を割って中身を出す必要がある。これは石の台にのせて石で叩くとか、ツールナイフのペンチを使うとか、歯で噛み割るなどで取り出すことが出来る。そして、中身をしっかりと選別する必要がある。虫に食われていたり内部が変色しているものは外さなければならない。その部分に有毒な物質、カビ等が存在する可能性があるからだ。

そうして選別された実は砕かれた後に布に包んで水に何度かつけられて絞られる。これは渋抜きのためである。布の目の細かさの関係でいくらか流れてしまうし、栄養も一部流れると思われるが、このように砕いてから絞るように渋抜きすることで短時間で渋抜きが完了する。砕かない実のままでは樹種によるが物によっては1週間流水にさらさねばならないものもある様である。

その後、絞った後の実の粉に少量の調理用の水を加えて形を整えて焼く。焼き方は動画中では石にのせて火の周りで時に動かしながら焼いているが、ほかに木の板にのせてあぶるように焼いたり、棒に包むようにつけて焼いたりと工夫の余地があるところだろう。焼きあがると生地がナイフや串を刺してもつかなくなる。これはよく菓子作りでも言われることであるが、こうなれば完成である。

どんぐりは生で食べようとすると、中にある渋(タンニン)が有毒で、大量・長期の食料には出来ないが、適切に処理すれば人類を一時期メインで支えてたくらいには優秀な食料となる。最新の備蓄食だけでなく、温故知新で自然界にも食料を求められる頭をもっておきたいものである。