弁当箱型の飯盒 - トランギア メスティン

加熱調理が重要であることは何度か述べてきた。装備を軽量に保つためには乾燥した水分の少ない食品を持つことがよいが、そういった食品を食べるには湯を沸かして加えるか、水を加えて加熱調理することが必要になることが多いからだ。

日本であればその代表的なものは米である。一般的に手に入りやすく、また扱いやすい穀物であるし、ジップロック等で保存し湿気を遮断すれば保存もきく(常温では多少劣化する)ので携帯する食料に向いている。しかし、みな知っているように米は炊飯の必要がある。日本のアウトドアで名高い飯盒炊爨である。

飯盒炊爨で用いるのは当然のことながら飯盒であるが、これは楕円の筒状のものであったり、またソラマメ型であったりする。これらの飯盒は大抵は吊るす用の取っ手が付いていて、紐か棒に吊るして火にかける。こういった飯盒は歴史が古く、馴染み深いものだが、軍隊用に開発された経緯もあって個人や少数のアウトドアやサバイバルでは少し応用性に欠ける面もある。曲線で構成されるため、内部に効率的に入れられるものに制限があり、また鞄の中などに入れるときに邪魔になりやすいのである。

そういった不満点を解決する品として、また手軽な容器として有名な飯盒がある。トランギアのメスティンである。このメスティンは四角い弁当型の飯盒である。近頃の若者はあまり見かけないかもしれないが、その昔(今でも探せば結構あるが)弁当箱といえばアルミ製であったが、そのアルミ弁当箱にハンドルをつけたような形をしている。

メスティンはクッキー缶のように蓋がぴったりと閉まるから、飯盒用途に使いやすい(蓋を載せるタイプのアウトドアクッカーだと炊飯時に蓋が持ち上がって不安定になる)。また四角く内部空間を効率的に使えるので、種々の小物をメスティンに詰めて、メスティン型のサバイバルパックをつくることもできる。蓋と本体の間をテープで巻いて止めれば内部の防水にもなり、よりサバイバルパックとして機能性が高まるだろう。同時に四角いフォルムは鞄などの中でも邪魔になりにくい。他のものを一緒に入れる際のデッドスペースが少なくなり、鞄の中のスペースを有効に使うことができるのである。

また、メスティンはアルミ製で、形状も量産性に優れるために価格が安い。これもメスティンが色々なところで愛されている理由である。手軽に試せる価格で、鍋や飯盒としての機能が気に入らない、もしくは他のいい道具を手に入れた場合でも容器としての性能はよいので一度試してみてはどうだろうか。

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私のエマージェンシーパック その6

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CIMG3097非常時といえばラジオでの情報収集というイメージがあるが、私もラジオをいれてある。またこれは手回し発電式で、ラジオだけでなくLEDライトと携帯電話の充電が電池無しでできるというものだ。ほどほどの多機能で手動の発電機つきなので非常時には重宝しそうだが、発電する際に大きな音がするのと、ラジオを聴きながら発電するのが困難であること(発電に伴う電磁ノイズが原因で聞き難くなる)、また少しばかり大きいのもあって代替できるものを探している途中である。

CIMG3099細々としたものもいくつかあって、手回し発電ラジオの付属品(黒のコネクタやコードがそれ)や、ファイヤースチールに付属のサバイバルマニュアル、またウォッカを燃料として利用するときにスポイトとしてつかうストローなどもいれてある。かさばらず軽いなら何でもいれてみるという姿勢でやっている。

CIMG3103はっきりと役に立つというものもいれてある。安全ピンや針と糸(中央円筒ケース)は基本で、棘を抜くために毛抜きやサバイバルようの釣り針とテグス、ゴムバンド、また耳栓等もいれてある。耳栓は主に日常での利用を想定はしているが、避難所などでは重宝するかもしれない。また、用途の固定されてないものとして、アルミホイルが入っている。これで皿を作ればアルコールを注いでアルコールランプとすることもできるし、また何らかの道具を巻いてしまえばその部分の防火などもできる。きらきらしているので注意を引くときにも使えるかもしれない。これらは全て1つのケースに入っていて、日常でも使いやすいようにしてある。(耳栓と毛抜きと安全ピンは使う機会も多い)

CIMG3101最後ではあるが、サバイバルキットでこれを含めるのは私だけなのではないかと思うものがある。それがこの耐水サンドペーパーである。番手は#320、#600、#1200を用意してある。これを用意するのは刃物を研ぐためである。刃物はバッグにはツールナイフが1つ入っているが、この刃が鈍ってしまえば他に頼るものは無い。ツールナイフにはダイヤモンドやすりが付いているのであるが、ツールナイフのヤスリでツールナイフのナイフを研ぐことはできないので耐水サンドペーパーを用意しておくことにした。

耐水サンドペーパーは水と平坦な面があれば刃物を研ぐことができ、また砥石と違って薄く軽く曲げることもできるので便利である。刃物研ぎだけでなくほかの磨き用途にも使うことができる点でも優秀である。

 

これで一通りの紹介ができただろうと思う。どうであっただろうか、日常にもいくらか便利な品を優先的に選び、またサバイバルに必須なものも押さえてあるつもりである。もちろんこのパックもいまだ改良の余地はあるし、バッグによっては多く装備品を持ち歩けるのでもっと豪華にしてもよい。サバイバルの準備に基本はあるが絶対はない。自由に自らの必要なものを用意していただきたい。そのとき私のものがいくらかでも参考になれば幸いである。

私のエマージェンシーパック その5

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CIMG3085前回はパックに含まれる医薬品について紹介したが、食用のものでも場合によっては医薬品的に扱われるものもある。私の鞄にはそうした食品もいくつか入っているので紹介しよう。

CIMG3090まずはサプリメントだ。サプリメントを食品と言い切ってしまうのは抵抗があるが、スーパー等で購入できる食品の分類である。サバイバル時の抵抗力を低下させないのと、日常的に飲むものということでビタミンCのサプリメントを常備している。

CIMG3096今度はきっちり食品である。ラムネは大きくわけてブドウ糖のものとブドウ糖でないものに分けられるが、サバイバルを考えるならブドウ糖のものがよい。ブドウ糖は脳の活性化に役立ち、吸収がよい。ブドウ糖自体は医薬品のパックに含めてあるが、このラムネ菓子が手軽で日常にとるにも良いのでそのままいれてある。購入する際はブドウ糖を含むことを確かめてから購入して欲しい。ちなみに写真のものは森永のラムネで当然ブドウ糖が使われている。

CIMG3094糖でいえば、氷砂糖も入っている。氷砂糖はショ糖、つまり砂糖の結晶であるが、これがなかなか使い勝手がよい。そのまま口にいれて飴のようにしてなめて口の渇きをごまかすこともできるし、コーヒーや紅茶などに入れるグラニュー糖の代わりにも使うことができる。あまりおいしくない水を甘さでごまかせるのでサバイバルにも役立つだろう。また少ないがカロリー源ともなる。また砂糖は塩と同じように賞味期限がない、つまり濡れたり汚れたりしなければかなりの長時間保存できるから備蓄品としては優秀であるといえる。

CIMG3095飲料でいえば、スポーツ飲料(ポカリスエット)の粉末もいれてある。これは適切な濃度に薄めればかなり有効な経口補水の手段になるが、しかしながら水を計量する装備は入ってないからどうしてもいい加減な分量となる。なのでこれは脱水症の手当てというよりは、水を飲みやすくするためといって良いだろう。まぁ、脱水に対して効き目が特効的とはいえないだけで、効果がないわけではないから水分補給するときにいくらか効果的に水分摂取できるだろう。

CIMG3107最後にアルコールである。蒸留酒の使い道は多くあるが、それが最高度の度数を持つスピリタスウォッカならなおさらである。スピリタスウォッカの有用性については依然述べたが、飲用にしてもいいし消毒にもつかえる。また燃料としての利用もかなり有効であり、着火用に使用するときはファイヤースチールの火花で簡単に火がつく。またこのウォッカをいれているスキットル(フラスコといわれることもある)は、小さな水筒であるので、アルコールを使いきった後は水筒として水をいれてもよい。また金属製なので火にかけて湯を作ることもできるだろう。

 

口にすることのできるものはこの程度であるが、あとすこし、いくつかの小物と非常時の音もラジオが残っているので、次回はそれを紹介するとしよう。