カメラの危険 : 危機感を遠ざけるファインダー

ちかごろ災害の報道を見ると、被災の瞬間の映像がよく見られるようになった。これは携帯電話などにカメラが搭載されて動画が手軽に撮れるようになったためで、個人の撮影したものが報道機関に投稿されたものも多い。

こういった動画を見ていると、撮影者が危険な位置にいる場合も多々ある。竜巻の迫る中、また津波で増水する川の付近で撮影された映像などは撮影者にかなりの危険があったはずである。危険な状況を撮るというのは、すなわち危険な場所にいるという場合がほとんどであることを大抵の人間が理解できるはずであるが、どうして逃げずに撮影を続けてしまうのであろうか。

こういった行動は、手軽なカメラが普及する前は戦場カメラマンなどであることが知られていた。危険な場所で撮影するカメラマンは、よく気をつけていないと危険な場所に踏み込み過ぎてしまうというのである。一説によると、レンズを通したこちら側は安全なような気がするとか、もしくは現実感が薄れるとか、そういう気になるそうだ。(こういった心理に心理学的な現象名が付いているかは、申し訳ないが知らないが)おおよそそういったエピソードを見聞きする限り、実際に危険に近づきすぎる傾向があることは昔から存在するようである。

無論そういった画像は災害研究の有用な資料になりうるが、しかしながら生存を第一に考えるサバイバーとして考えるならば写真や動画の撮影にかまけて自らの身を危険にさらすことは厳に慎むべきである。多くの人に見られる突発的な行動・心情は自分にも訪れるものであるということをしっかりと認識し、万が一にも撮影などして逃げ遅れることがないように、まず第一に避難と安全確保を行うことを再度しっかりと肝に銘じるべきであろう。