目の前にあって使えない水 あがけば何とかなる水

水は生命維持に欠かせないものであるが、その水がいつでも手に入るとは限らない。たとえば砂漠。一滴の水を得ることすら難儀するような土地であり水は大変貴重である。

そこまで水が無くとも実のところ、そのまま飲用できる水というのは案外少ないものである。ジャングルや川そばでも水が利用できないこともあるのである。

わかりやすいところから言うと、海水がある。海水を飲もうとすることは普通ないと思うが、海難事故などで水が手に入らない場合に海水に手を伸ばしてしまうということがあるらしい。渇水状態にあり朦朧としている人間に理性を求めるのも酷かもしれないが、海水を飲んでも渇きは癒えず、海水中の塩分濃度が高いがためにそれに対抗するためかより渇きにさいなまれるそうだ。

また、鉱毒などの毒が含まれている水も利用できない。工業排水で汚染されている土地においてはこれは利用するのに大きな勇気がいる。現代日本においてはさほど強烈な毒は工場から排出されていないが、国外に出れば、お隣の国などをみるに、そういった排水の影響を頭においておかなければならない。工場のほかに鉱山もそういった毒の排出源となりうる。こういった施設には排出の管理と浄化の設備があることが多いが、災害時に破壊されないとも限らない。また、工場等の人工物が原因でないこともある。一部の地域では地下に砒素が多く存在し、地下水は利用できない。また、火山などの周辺では硫酸などの物質が発生する。温泉街には魚の住まない(住めない)川が流れていたりするのだ。

他にも、そのまま飲用するにはリスクの高すぎる水もある。どぶ川の水をそのまま飲もうという人はあまりいないと思うが、そういった水は感染症のリスクがある。また、一見澄んでおり問題が無いように見える水でも、上流に動物の屍骸や糞尿等の汚染物があれば大変危険である。

もちろん、緊急時には比較的安全に見える水なら飲まざるをえない場合はあるのであるが、リスク回避は重要である。細菌のリスクは浄水器や浄水剤で回避可能であるのでそうするべきであるし、そういったものが無ければ加熱することで対処できるだろう(労力は相応にかかるが)。また、どうしても飲める水が無ければ、蒸留器を工夫することで飲める水を作り出す方法もある。途上国向けに太陽光を利用した蒸留器を開発した人がいるが、蒸留はたいていの水を飲用可能にする手法なのである。

他にも細かな水を集めて利用する方法もあるが、いまここでは語らない。日本においては少しばかり行けば川なり海なりが存在するからだ。そこにある水をまずどうにかして使うほうが労力は少ない。