備蓄食料には質も要求される

災害時の備蓄でよく言われるのが食料の備蓄であり、世間でもてはやされる非常食であるが、いままでに述べているように重要度としては軽視できないまでも比較的小さい。しかしながら、そうは言っても必要であることに変わりは無く、十分な蓄えがあるにこしたことはない。

世に言う「非常食」というものを備蓄食料として準備することが多いと思う。この非常食は長期保存をするように製造をしたものである。3年とか5年とかの賞味期限がつけられていたりするので、そのスパンでの買い替えが必要であるが、頻繁な更新が無くてよいと思われているようである。

しかし、その味は実のところさまざまであり、実際に食して確かめてみるしかない。もったいないと思われる方は更新時期に食べてみるのもよいかと思うが、そうとうがっかりする味のものもある。

ほんとうに、これはものによって様々である。実際に食べると、十分においしいもの、そこそこ食べられるもの、味は悪いが食べられないことも無いもの・・・なかには吐き気がして食べられないものもあった。災害時にハズレを引いたらどれだけ気落ちするかを考えると余裕のあるときに一度は実際に食べてみるべきであろう。

優先度が低くとも人は食物を必要としている

サバイバル3つの3において、最後の3は食料の3です。食料は3週間得られないと死んでしまうということである。これは、他の2つに比べて切迫していないように見えるが、決しておろそかにしてはいけないのが食料なのである。

食料が得られなくとも体温を保持でき水が得られるならば、3週間は生存じたいはできるかもしれない。しかしながら、断食等に慣れていない場合、食料が得られなければ短期であってもさまざまな症状が出る場合があるのである。空腹は不安感を煽り、心を苛立たせ、低血糖症状はめまいなどの症状を引き起こす。これにより正常な判断、冷静な決断ができないようになると、突発的・衝動的な行動に陥りがちになり効率的な生存戦略が取れなくなってしまうのである。

また中期的に見ると、栄養の不足、特にたんぱく質の不足は筋肉の分解を誘発し、体の痛みや筋肉の衰えなどが生じることとなる。疲れが取れず、体が思うように動かなくなると、新たに水や食料を得ることが難しくなり、積極的なサバイバルが不可能になるだろう。

このように、食料はサバイバーの活力であり、また精神安定剤であり、身体を維持するための薬のようなものでもあるため、サバイバル状況下では余裕が無いとき以外は多少の食料は持っておけるようにしておきたい。

ただ、最近は手軽な栄養食品が多くあり、携帯していてもさほど違和感もないので、そんなに意識しなくとも非常時の栄養食とできる食品を持ち歩いている人も多いと思うので、そういった方は他の物資に気を使っていただきたいと思う。

水の備蓄は難事である

生存には水が必要である。しかも、相当な量の水が。

スポーツ飲料の広告で「寝ている間にコップ一杯の水が失われる」といったものがあった。まさしくそうである。一日に最低でも2リットルの水分補給が必要とされる。

その水をどこから得るのか、という問題がサバイバル時にはついて回るのであるが、日常においては現代社会では水道が発達しており、安全に使用できる水が即座に入手できる。しかし非常時にはこういったライフラインは停止することを前提に考えておかなければいけない。

ライフラインの停止を考えるときに、一番に思いつくのが備蓄である。水の備蓄については災害用品店などを見るに、缶詰の水や長期保存用のペットボトル水等あり、飲料水の備蓄を考える人も多いようである。阪神大震災以降、こういった備蓄は3日程度を目安に行われていたが、東日本大震災でそれでは不足であるということがわかった。3日分の飲料水でさえ6kgとなるというのに、それ以上の水が必要となるのである。これはもはや気軽に持ち歩くことができる量を大きく超えており、各戸の備蓄として倉庫や納戸等に置いておくレベルの備蓄品であろうと思う。

水の備蓄で一番安価な方法は、容器にいっぱいになるまで水道水を充填し十分に密閉するという方法である。水道水中の残留塩素が水の保存に効果を発揮し、1ヶ月程度はもつということだ。手間であるかもしれないが、保存開始から時間がたった水は皿洗いなどに利用しつつ順次入れ替えていけばローコストで水の備蓄をしておくことができる。