明かりの確保 -電気から自然の燃料まで

災害時、アウトドア時、その他不測のとき、その時間が日が落ちた後であれば、いや入り組んだ建物内では日中であっても、行動には光源が必要となる。人は完全な闇の中で活動できるようには出来ておらず、そのような環境で光無しに活動するには相当な訓練が必要となるものである。

そういったわけであるから、光源の確保はサバイバルにとって重要事であることは疑いようもない。サバイバル条件下においては基本的には夜間の活動は控えるべきではあるが、身を守るため、また軽作業等に光源は必要であり、そもそもサバイバルではやむを得ず暗闇で行動することも勘案しなければならないのである。

したがって何らかの方法で光源を確保するものであるが、初めから装備に組み込むことが一番難易度が低いであろう。おおよそ備えの一つに早いうちから挙げられるものに懐中電灯がある。最近は消費電力が低いLED仕様のものが多くあり、持続性から考えるとサバイバル用としてはそういったものを選ぶことになるだろう。充電する機能があるものが望ましいが、単に通常の電池式のものでも十分に役立つ。初期の10時間ほどでも照らすことが出来れば危機を脱するのに役立つし、LEDであればもっと長時間持続できることも稀ではない。

一方で、電気機器は壊れる心配もある。そういった面からより単純な照明具も必要である。オイルライターをランプ代わりに使ったりまたガスストーブ類を使用したりと物は色々あるが、一番普及しており入手が楽で単純であるのはロウソクであろう。アロマキャンドルや仏壇用ロウソク等、色々なロウソクがあるが、どれも生半な衝撃では機能に支障なく、水にも強い。点火具が必要という欠点はあるが、それこそサバイバルを考える諸氏はロウソクにつけるくらいの火は確保できるだろう。(具体的には防水マッチ、オイルライター、メタルマッチ等を使う。直接点火できない道具だと、少量の燃えやすいものに火をつけて火を移す)

さて、サバイバルでは装備の大半を消耗、もしくは喪失したときのことも考える必要がある。そういったときでも摩擦による方法など(弓錐法・舞錐法等)で火を熾せれば照明が確保できる。そして火が確保できたなら、松脂や獣脂、その他油脂類を草などの芯を用いてランプにすることも出来るし、より単純に松明の形で灯りとしてもよい。もちろん焚き火を照明としつつ暖を取ることも可能である。

そもそも人類は火を手にして文明を得たといってもよい。火は熱源だけでなく、光を与えてくれた。人間の力を十分に発揮するために必要な光を、必要なときに手元に置いておけるように備えておきたいものである。

粉末の肉のようななにか - プロテイン

肉体を運動させるときに、スポーツ科学を知るものであればたんぱく質、そしてそれを分解したアミノ酸が重要であるということは自明のことである。体の様々な機能を維持するのにたんぱく質は必要であるが、それを補給するというのは意識的にしなければ効率的に行うことは難しいものである。

一般的な方法は食事を通してたんぱく質を摂取するというものである。肉類が多くたんぱく質を含む(というか大部分がたんぱく質で出来ている組織である)というのはよく知られたものであるし、また豆類もたんぱく質を多く含むことも知られる。日常であればこれらの食品を食べることでたんぱく質を摂取するが、もちろん純粋なタンパクだけの食品ではないので他の栄養素とのバランスをよく考えなくてはならず、なかなか難しいものである。

一方で、サバイバルにおいてはたんぱく質摂取の重要性はさらに上昇する。サバイバル状況下においては重度の肉体運動を行い、筋肉疲労とエネルギーの消耗が起きる。これを回復するためにたんぱく質が必要である。が、サバイバルを考えたとき、肉は長期の保存が難しく、豆は調理の必要があるなど通常の食品はサバイバルにむいているとは言いがたい。そこで、プロテインである。そもプロテインというのはたんぱく質ということであるが、ここでは乾燥されて調整されたプロテイン商品ということになる。これはスポーツ選手などがトレーニング時に利用するようなものであるが、サバイバルでも活躍するポテンシャルを持っている。

まず長期の保存に耐えられる。おおよそ製造から2年の賞味期限と開封から1ヶ月の消費期限はサバイバルに対する備えに置くのに十分であろう。また高濃度のタンパク源であること重量の7割程度がタンパクで、水分ばかりの生肉とは比べるべくもないし、その他高たんぱくの食品と比べても優位になることが多い。そして加えて言うと、手間がないタンパク源では価格的に有利である。ジャーキーなどの保存の利くタンパク源は製造の手間が大きく、また素材の価格もあって高価になりやすいのである。(プロテインは乳製品の副産物であるホエイが主流の原料になってきている)

そういったわけで、プロテインは製品の価格と特性によってサバイバルに有効なタンパク源として考慮に値するものである。もちろん、山や森に分け入って動物・魚・虫などのタンパク源を求めてもよいのだが、取れないときのタンパク源の確保はあって悪いものではないだろう。タンパクの欠乏は運動能力の低下を引き起こすため避けなければならない。

そしてまた、(私にとっては)重要であろうと思うのは、プロテインを備蓄しておけば、入れ替えのために飲むことが必要になってくるということだ。そうなると無為に飲むよりトレーニングをしようという気になるに違いない。肉体の機能向上はサバイバルにかなりのアドバンテージを与える。そのトレーニングのモチベーションをもったいないというところから上げてくれるという効果も期待したいところである。

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濡れることの危険

遭難時の死因で多く聞かれるのが低体温症である。事故等がなく、外傷による危険がなくとも、対策ないままでは体が冷えることによって体力を消耗し、最後には力尽きてしまうものである。したがってサバイバルではまずもって己の体温を保持するための方法を学ぶのであるが、例えばサバイバルシートやテント・ツェルトの使い方を学んだだけでは不十分であることがある。風をさえぎり、防寒効果のあるシートをまとっても体温が失われやすい状況というのがあるからである。

さて、髪がぬれていると風邪をひきやすいとか聞いたことはないだろうか。髪がぬれている状態であると、その蒸発によって頭が冷えるが、その分の熱を補填するために体力を消耗するので風邪をひくということである。頭部からの発熱は存外大きいものであり、また髪は水を多く含むことが出来るので体力を消耗するに足る吸熱が起こるのである。

そう、水は吸熱が大きいのである。例えば短時間での場合4℃の空気(冷蔵庫の中など)ではさほど冷たいと感じないが、4℃の水だと身を刺すほどの感覚となる。これは水が大量の熱を素早く奪うからである。同じ重さの空気と水の比較だと、それぞれが1℃上昇するのに必要な熱の量は空気より水の方が4倍ほど多い。また体積で言うなら3000倍も違うのである。また、これは温度が上がるだけの場合で、水は蒸発するときに多くの熱を奪う。水の蒸発するときの熱は、計算すると1kgで500kcalを超える。1kg、つまりおよそ1リットルの水を頭からかけてみたが、だいたい頭とTシャツがぐっしょり濡れる程度である。雨に降られてしまうとこれくらい濡れることはあるが、そのままだとかなりの体力を消耗することが分かる。

したがって、体温を保持するための原則としてはまず濡れないということを大事にしなければならない。雨に濡れないための雨具を用意する(アルミブランケットなどで代用も可能である)ことはもちろん、厚着をして登山して汗をかき、その後に気温が低下して低体温を引き起こした例もあるので、適切な衣類の状態を保つことも重要である。そして、体が濡れたなら乾いた布などでぬぐうこと、そして濡れた衣服は脱ぐことが肝心である。気温が低くとも濡れた衣服を着続ける方がよっぽど危険なのである。

最近では便利なもので、圧縮されたタオルなんかもあるし、衣類圧縮袋などもある。こういった袋に入っていると濡れることはないので、体や衣服が濡れたときのかえとして有効に働く。備えておきたいものである。

[補足]水の蒸発に関する計算
水の蒸発熱は40.8 kJ/mol
また 1cal≒4.2J     水の重さ18g/molよって、40.8/4.2/18≒540cal/g=540kcal/kg
(ただし、低温の水の温度上昇分の熱量は入っていない。実際にはこれ以上の熱が奪われるだろう)

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