原始時代の道具で弓矢を作る

今回は久しぶりに、大自然のサバイバルを見よう。ここ最近、都市部での備えに偏って、少しばかりアウトドア志向のいうなれば夢のあるサバイバルからは遠ざかっていたが、ある意味、そんな状況にはそうならないだろうという突拍子もない状況(つまり未開の森の中に置き去り、とか文明のにおいのしない場所に長期間とか)に必要な技術が、極限状態に役に立つことだってある。

さて、サバイバルでは食料を得るためにいろんなことをする。言葉でまとめると狩猟採集と一息で言ってしまえるが、その手法も様々である。そのうちカロリーを多く得られる可能性のある方法が狩猟であり、その手法で一番イメージが一般的なのが槍と弓矢による狩猟だろう。原始的な狩りといって思い浮かぶのが投げやり、そしてそこから一歩進めば弓矢である。そういうわけで、狩猟をしようとすると、個人の狩猟では投げ槍の手法では獲物を獲づらいので(何本も槍を打ち込まなければならない)弓矢が必要となってくるが、弓矢を初めから持っている人間なんてそんなに居ないだろう。となれば作る必要がある。

世界は広いもので弓矢を作る人もかなり存在しており、手法の一端を学ぶことができる。

上の動画では原始的な道具と材料で弓矢を作っている。弓となる木材、矢となる木材を削って曲げてまっすぐに直したりする。その際には石と木から作られた道具と焚き火の火しか使わない。また、松脂と炭から硬い接着用の樹脂を作り、それと植物の繊維でもって鏃を固定する。また羽の部分も鳥の羽と植物の繊維、そして接着剤となる植物(これは松脂で代用できるかもしれない)を使って矢に固定している。

なかなかにきちんとしている弓矢が森の中で作成可能なのである。狩猟の方法は罠もあり、弓矢だけのものではないが、選択肢と道具は多い方がよい。また有事の際には武器ともなる頼もしいものである。知識と、基礎的な技術は持っていれば役に立つかもしれない。

なお、弓矢での狩猟は日本において完全に違法であり、そのほか各種法に触れる可能性もあるので実践の際は適法の範囲に収まるように各自注意していただきたい。

レジャーとともにサバイバル能力を高める

寒い時期が終わると、大体の世間の動きとしてはアウトドアレジャーが活発になるようである。春・夏・秋の初めくらいまでは本格的なキャンプでなくともデイキャンプ、日帰りのバーベキューなどで結構な人数がアウトドアの遊びを楽しんでいる物で、各種店舗でもそういったアウトドアレジャーに関連する商品が一定して揃えられていることも多い。

アウトドアレジャーは遊びであるが、そこから得られる経験と知識、またそれに使われる道具はサバイバルをするときにも大変有用に使うことができるものでもある。火の焚き方は汎用的に用いることが出来るし、七輪やバーベキューコンロは調理や暖房にかなり便利な道具である。またテントや寝袋といったシェルターになるものがサバイバルで重要なことは散々今まで紹介してきたところであり、キャンプはその予行演習といっても良いくらいである。他にもより山奥でのレジャー活動に浄水器を準備する人もいるし、登山などはそれそのものがサバイバルの訓練に近いものがある。

すなわち、アウトドアを楽しんで、少しずつ道具を買い集めて、そして経験を積んでいくうちにサバイバルの基礎能力を高めることが出来るのである。新しいことに挑戦していくことによって、また自然に近づいていくことによって、自然の中で生き延びるための知恵の一端をつかむことが出来るだろう。そして、重要なことは、これによりサバイバルを趣味として言えるということである。日々を楽しくサバイバルに備えるというのは重要なことで、不安に駆られて用意するだけではつらく、続けるのも困難である。アウトドアと表裏一体の楽しい趣味としてある程度行える方がより上達も早く、知識も身につくものである。

もちろん、アウトドアレジャーがサバイバルと近しいものであるということは危険も隣合わせのものであるということで、それゆえ安全に注意して行って欲しい。まぁ、もっともsuvtechを御覧の皆様は各種の危険についてある程度の理解をしているだろうから問題ないかもしれないが念のために注意しておくことにしよう。アウトドアでの一酸化炭素中毒・火災・虫刺され・増水による水難・食中毒・転落事故・低体温症などなど、様々な危険は、ベテランは自然とそれらを心得ており回避するものであるが、アウトドア初心者は知らず危険に踏み込んでしまうことがあるので、慢心せずに事前の知識をしっかり仕入れて活動しよう。それらの危険の回避の積み重ねがすなわちサバイバルの第一歩といえるものである。であるから、繰り返しになるが、サバイバルを楽しむことはつまり安全なレジャーを楽しむということと同じなのである。

電力を確保する方法、その選択肢を知ろう

災害時には多くのインフラが被害を受けて、必要なエネルギーや物資が届かなくなる。水道・ガス・電気といった現代においては生活の基礎を構成しているといってもいいものも例外ではない。水やガスにかわる熱源については何度か触れてきたが、今回は電気について考えてみたい。

電 気は水や熱源に比べて直接、即座に生命にかかわることは少ない。水の場合は脱水、熱で言えば低体温などで命にかかわるが、電気は特に人工呼吸器などの電気 製品に影響するぐらいで、おおよその方には問題はないかと思われる。しかしながら、電気があれば通信や照明、また水でも電力を利用した浄水器やポンプが利 用可能であり、避難時などの生活の質と安全度の向上を図ることが出来る。

電気の確保はその利用先が多いのと同じく、確保の方法も様々な選択肢がある。災害時の電力として一番手軽で安価であるのは電池であろう。古くは台風の備えとして懐中電灯に電池を備えたものであったが、最近では電気製品も増えて電池で充電するという少し迂遠ではあるが便利なものも増えてきた。

電池のほかでは発電機ということになるが、近年の防災グッズの発展により、手回し発電のものが多く見られるようになり、安価に手に入れられるようになって来た。手回し発電型の品はそのものだけで利用するものでなく、外部に充電できるものが備えとしては好ましいだろう。携帯電話を充電できるものが多いが、時に充電池を充電したりUSB端子に電力を供給するタイプのものもある。各人の持つ小型機器のバリエーションに応じて好ましいものを選ぶと良いだろう。

また、太陽光発電という手段もある。多く想像されるだろう物は家庭用の太陽光発電機であろう。家に備え付けた太陽光発電機はその多くが一部の電力を停電時でも利用できるようになっている。(なぜ一部で全部でないのかは機器の細かい性質の問題で簡単なものではないので、いずれ機会があれば説明したいと思う)また、携帯用のものとして、極小型の携帯電話程度の充電を目的としたものや携帯できるが少し大型のバッテリー充電型の太陽光発電装置もあるので例えば複数人で行動することを想定して電力供給を多くしたい場合などに備えると良いだろう。

手回し発電や太陽光発電は燃料がいらないという利点があるが、手回し発電では手間がかかったり太陽光発電は夜間には発電できないという欠点がある。一方で発電機としてエンジンを利用したものであると、燃料を消費するものの、小型で大出力のものが多くある。エンジン発電機はガソリンやディーゼル、最近ではプロパンガスやカセットガスを利用したものも存在し、利用想定に合わせた用意が出来るだろう。さほど大電力を確保するのにはむかないが、車の発電能力を利用する方法もあり、これは別途発電機を用意する必要がないから手軽かもしれない。

またその他、小規模水力や小規模風力などあるが、いまだ趣味人の領域である。これらは夜間の利用も出来るし、燃料の追加も必要ないが、取り扱いに癖があるため今後の発展が待たれるところだ。

一昔前では災害時、停電時には電気の利用は完全にあきらめた方が良いという状態であったが、最近では比較的安価に発電などの手段が手にはいるようになってきた。生活の質が電力の有無に左右されるようになってきた現代で、多くの電力源を多角的に取り入れることが出来たなら、停電による生活の質の低下をいくらか軽減することは可能なはずである。